「男ならこのPHS(ピッチ)!!の巻」(ジャンプ・コミックス110巻収録)

今回は、現在では失われたツールとなった通信機器「PHS」の新製品をめぐるお話をお届けする。

PHSとは日本発の通信規格で、厳密には電話機ではなく無線機に分類される。

そもそもPHSは「Personal Handy-phone System」の略で、簡易型携帯電話という意味。一般電話回線からPHS用のアンテナを引いて使用するために家庭用のコードレスフォンを外出先でも使えるようにしたのがはじまりで、1995年からサービスがスタートした。

事業者が設けた基地局の電波に接続して使用するのは携帯電話と同じだが、電波の有効範囲が数百メートル程度と微弱なことが特徴だ。

そのため通信可能な範囲が限られるが、携帯電話より料金が安く、都市部で暮らす若い世代の間で盛んに使われていた。そんな中、いつしか女子高生発祥!? の「ピッチ」という愛称で呼ばれるように。

一時は携帯電話に先んじて、さまざまな機能や仕様を取り入れているほどの隆盛を見せたが、新世代通信規格を取り入れた携帯電話やスマホに押され、2010年代には次第に市場を縮小していき、現在はサービスを終了している。

本作が描かれた1998年は、PHSが高機能化、通信の高速化をはたしながらも、携帯電話に押されていた時代だ。

なお「携帯電話なくすべからずの巻」(ジャンプ・コミックス100巻収録)では、両さんが携帯電話とPHSの違いやそれぞれのメリット&デメリットを、とてもわかりやすく解説している。

携帯とPHSのどちらを買おうか悩んでいた当時の読者には、非常に参考になったに違いないエピソードだ。

「携帯電話なくすべからずの巻」より
「携帯電話なくすべからずの巻」より

それでは次のページから、PHSの画期的新製品をめぐる騒動をお楽しみください!!