トクリュウの犯罪拠点の確保にも関与か
約20年前からフィリピンと日本を行き来し、現地の裏事情にも精通している別の暴力団関係者は、JPドラゴンと日本の組織との関係性をうかがわせるような光景を目にしていたという。
「不良の界隈でJPドラゴンという名前を聞くようになったのはここ数年の話ですが、もう10年以上も前に、マニラのマリーナに“菱”のマークが入った船が止まっているのを見かけたことがありました。
菱は山菱、いわゆる山口組の代紋です。知り合いに聞いたら、『山健組系の組にいた人間がこっちに来ている』という話で、今回JPドラゴンといわれているグループはどうもその界隈の人間のようです。
彼らは、フィリピンに逃げてきた組織の人間なんかをアテンドしたり、日本人相手のKTV(カラオケクラブ=いわゆるキャバクラ)のケツ持ちなんかをシノギにしているという話でした」
関係者によると、フィリピンには振り込め詐欺などの電話を掛ける“掛け子”や、詐欺集団を取りまとめる“指示役”のアジトが点在している。
フィリピン各所でビルの一室やコンドニミニアムを借り上げるなどしているとみられるが、そうした犯罪拠点の確保にもJPドラゴンの関与が疑われているという。
さらに、組織の活動が活発化した背景には、捜査当局による暴力団の取り締まり強化とも連動した組織再編の動きが絡んでいるともみられる。
「山口組の分裂抗争です。内紛によって六代目山口組と神戸山口組の二派に分裂したことで、組からの離脱者がフィリピンに渡ってJPドラゴンに加わるケースが増えたという話です。
フィリピンは当局の締め付けも緩く、警察官らによる汚職や不正が横行している。現地の当局者とのコネを使いやすく、現地に入り込んでいる中国や韓国のマフィアとの連携も取りやすい。
拳銃なんかも44口径のコルトが日本円で3万円ぐらいで手に入るし、ヤクザ者にとっては天国みたいな場所です」(前出の暴力団関係者)
まさに日本とフィリピンの裏社会が地続きとなっていたわけで、今回の逮捕劇でその一端が明るみに出た格好だ。
海を越えた犯罪コネクションの実態解明はまだ、とば口に立ったばかりだ。
※「集英社オンライン」では、今回の記事に関連する情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班