懲戒免職・退職金不支給処分 

令和4年10月3日、教育委員会はX先生を懲戒免職処分とした。と同時に「退職金を支給しない」との処分も下したのである。1914万5062円の退職金がゼロ、というX先生にとっては絶望的な処分だ。

X先生は退職金不支給処分の取り消しを求めて訴訟を提起した。だが裁判所の判断は「退職金不支給は妥当」と判断。
理由は概ね以下のとおりであった。

・本件非違行為(ひいこうい)は身勝手かつ悪質である

・X先生の行為が女子生徒の心身に与えた悪影響は無視できない。

・教育委員会の指導に反して、女子生徒とSNSでプライベートなやりとりをしたり、お互いの体をマッサージしたことをきっかけに、女子生徒に一方的に好意を抱くようになって、本件非違行為に至ったものであるから、X先生に超過勤務※による精神的疲労があったとしても、本件非違行為に至る経緯についてX先生に有利に斟酌(しんしゃく)すべき点はない。

・本件非違行為当時、X先生は教務主任という重要な職責を担っていたことや、本件非違行為が野球部が大会に出場するためのホテルに宿泊した際に行われたものであることからすると、本件非違行為は、高校における公務の遂行に著しい影響を与えるとともに、学校教育に係る公務に対する県民の信頼を著しく損なうものである

※ X先生のR3.4〜R4.7の超過勤務時間は1ヶ月あたり約94時間
  事件の前月、R4.6の超過勤務時間は147時間15分だった

写真はイメージです
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裁判所は以上のような理由を挙げ、退職金を支給しないことが社会通念上著しく妥当性を欠いているとはいえないと判断。X先生の訴えは退けられ、退職金が支払われることはなかった。