柴田勝家が敬意を表する、全てのメイドたちの「パパ」とは?_1
イラスト/ノビル

「お疲れさま、パパの大事な娘!」

 戦国メイド喫茶に通うようになって、いくらかの月日が流れた。

 ワシはメイド喫茶での振る舞いにも慣れ、周囲のお客さんを観察しながら自分なりの推し方をしようと意気込んでいた。そうなれば情報収集も必要で、メイドさんたちが書いていたブログをチェックし、Twitterのアカウントを確認するようになっていく。特にTwitterはメイドさんごとに割り振られており、日々の呟きをしたり料理やお菓子の写真を上げたり、またお客さんたちとの交流にも使われている。この辺は給料が発生しないから、完全にメイドさんの善意というか、プロモーションの役割が大きい。小説家も自分の本を宣伝しないといけないから同じだ。ゆるさねぇ。

 そんな中、Twitterでメイドさんへのリプを見ていると、ある常連さんのアカウントがよく目についた。

「お疲れさま、パパの大事な娘!三回目のお給仕。無事にできたかな?」

 そんな言葉が、ほぼ全員のメイドさんに送られていた。今で言う「おじさん構文」で、絵文字なども交えてある。凄いのは在籍している大半のメイドさんを相手に、一人ひとり丁寧にリプを送っていること。そして彼女たち全てを自分の娘として扱っていることだ。

「ヤバい人だ!」

 と、最初は思っていた。正直に告白する。

 その人は「パパ」と名乗っていて、戦国メイド喫茶では今川みとらさんというメイドさんを推していた。彼女は名前の通り、今川義元の娘で、おっとりしたお姉さん系のメイドさんだ。一方、容姿はちょっとギャルっぽいので良い感じにギャップがあって可愛い。

 話は少し脱線してしまったが、ワシはこの「パパ」という人物がどんな人物なのか気になっていた。パパのTwitterプロフィールにはメイドさんの名前が書かれており、それぞれに(長女)(次女)といった風に続柄がある。なお推しのみとらさんには(嫁)とあった。オタクだから「俺の嫁」みたいな言葉は知ってるが、それが家系図になっているのは初めてだ。よく見ると十八女くらいまでいて、さらに愛犬(人間)と愛猫(人間)もいた。まさに大家族である。徳川家康は実子が十六人いたというから、やはり大将軍レベルなのは間違いない。

 で、メイドさんたちは、このパパをどう思っているのか。ワシはそれを確かめたいと思っていた。