本記事は2月16日に逝去した叶井俊太郎氏(享年56)の仕事を偲んで再編集・再掲載する。(初公開日:2023年5月6日。記事は公開日の状況。ご注意ください)

40年前の劇場公開時は興行収入15億円の大ヒット映画

――衝撃的なタイトルとポスターでしたが、『食人族』ってどんな映画なんでしょうか?

叶井
 まず、南米アマゾンのジャングルに生息する「食人族」の生態を撮影しに行った男女4人のクルーが失踪します。彼らを探しに捜索隊が食人族の村を訪れたところ、白骨化した遺体を発見するわけですよ。で、撮影クルーが残した1本のフィルムを持ち帰ってそれを確認するんだけど、そのフィルムの内容がこの映画っていう感じです。

人間が人間を喰う、阿鼻叫喚の地獄絵図。映画史上最大の問題作『食人族』はなぜ40年ぶりに公開されたのか?_1
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――なぜ40年前の映画を4Kリマスターで再上映しようと思ったのでしょうか?

日本初公開が1983年でちょうど40年前なので、日本公開40周年記念作品といえるじゃないですか。しかも4Kリマスターなので映像もハンパなくクリアですからね。公開するなら今しかない! しかも、5月5日の子供の日に食人族ってギャップがあっていいじゃないですか。R18+なので、子供は見れないですけど…。

人間が人間を喰う、阿鼻叫喚の地獄絵図。映画史上最大の問題作『食人族』はなぜ40年ぶりに公開されたのか?_2

――当時、この映画が公開されたときの反響はどうでしたか?

オレは高校1年生だったけど、この頃は「ジャンク」とか「モンド映画」がブームになっていて、その中で、人間が串刺しにされた『食人族』の映画ポスター見て「本物の食人族の映画だ!」と思い込んだのを憶えています。

当時付き合っていた彼女と映画館に行って「人間が人間をマジで食べるなんてヤバい!」とビビりながら興奮していましたね。彼女はずっと下を向いて見てなかったみたいで、映画終わりに行った喫茶店で別れ話をしたような気がする(笑)。

話全然変わるけど、当時はこの映画、興行収入15億円ですよ。大ヒットです。