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受刑者や死刑囚と対峙する苦しみ

――漫画『刑務官が明かす死刑の話』をはじめ、シリーズを読んだ読者からはどんな反響がありますか?

一之瀬(以下、同) 「知らない情報がたくさんあって勉強になる」といった反応が多いです。“刑務所マニア”と呼ばれるような人たちが一定数いるのですが、そういった方たちからも好評をいただいていますね。特に死刑に関する話題は外に出てきにくいので、現場の声が聞けるのは貴重なのだと思います。

――ちなみに、実際に受刑者の方から反応があったことはありますか?

昔、刑務所から手紙があったと担当編集さんにいわれたことがあります。受刑者が中で漫画を読んで、その感想をくれたみたいです。

――“塀の中のあるある”として楽しまれていたのかもしれませんね。先生がこのシリーズを通して伝えたいことを教えてください。

犯罪や刑罰をテーマにした作品って、受刑者側から見たものが多いんです。なので、私は刑務官側から見た世界を漫画にして、そのリアルを届けたいと思っています。刑務官の方々は、仕事として受刑者や死刑囚と対峙しています。そこには悩み、苦しみ、そして不思議な受刑者たちとの関係性があります。でもつらいだけじゃなくって、ときには楽しさもあるはずなんです。

――刑務官の方からも反響はありますか?

協力者の皆さんに、感謝していただけることもあります。というのも、さまざまな刑務所作品の影響で、刑務官は受刑者いじめをしてるとか、ただ見回りして監視しているだけどか、世間からそんなイメージを持たれていることが多いらしいんです。
でも実際はそんなことはなくて、事務作業から介護的なものまで、本当にたくさんの仕事があることを漫画として世に発表してくれてありがとう、と。私としても、今後も「お仕事モノ」として刑務官の存在を描いていきたいと思っています。

――そもそも、先生はどんなきっかけで刑務官目線の作品を描こうと思ったのでしょうか。

同ジャンルのルポや漫画の中に刑務官目線のものが少なかったというのもありますが、一番は私自身が知りたかったからです。