テーブルには血が付着したティッシュが山積みになっていて
同じ集合住宅に住み、被害者と日ごろから親しく付き合っていたという知人女性が語る。
「8日の夜の10時58分にAさんから携帯に『隣の人に耳を切られた』と慌てて電話がありました。私はその様子から、現場に行ったほうが早いと思ってすぐにAさんの部屋に向かいました。『隣の人』というのでピンときたのもありましたから……。Aさんの部屋のドアの付近は血がついていて、部屋に入るとあちこちに血がポタポタと垂れたような跡がついていました」
それでもAさんは取り乱すこともなく、部屋の中を行ったり来たりしていたという。この女性が目をこらすと、Aさんの左耳はスッパリとなくなっていた。
「Aさんの左耳がついていませんでした。本当にスッパリ切り落とされたかのように耳だけがなく、その付近から血が出てきていました。Aさんはその血をティッシュで押さえるようにしていましたが、すぐに血で染まりティッシュをどんどん換えないといけないという状態で……。テーブルには血が付着したティッシュが山積みになっていて、その横に切られた耳が置いてありました。
耳自体は拭いたのか、元からなのか血はついておらず綺麗な状態でしたが、さすがに直視できず私も血の気がひきました。私はAさんに『大丈夫なのか? 痛くはないのか?』と尋ねてみたのですが、Aさんは『痛みはないんですよ』と言っていました」
女性が緊迫した現場の状況の再現を続ける。
「Aさんの洋服も血だらけで、耳を切られているので、大丈夫なはずはないと思いましたが、興奮状態で痛みが麻痺していたのかもしれません。ティッシュでは溢れ出る血液を拭いきれないので、タオルのほうがいいと思い、Aさんにタオルを渡しました。
私もなぜそう思ったのか今となってはわからないのですが、切られた耳をそのままテーブルに置いておくのはダメなような気がして、たまたま目についた透明のナイロン袋を手にとり、これに入れたほうがいいんじゃないかとAさんにナイロン袋を渡すと、Aさんが自分で入れていました」
さらにAさんは右耳も切られていたという。
「Aさんの右耳からも血が出ていることに気づいて『右耳も切られてない? 血が出てるけど』と伝えると、Aさんは自分で右耳を触って確認しました。耳の後ろ側がカパっという感じでパックリ裂けている状態で、私は見ていて息が止まりましたが、Aさんは『そうみたいね』と本当に痛みがないようでした。そうこうするうちに救急隊員や警察が来て、外廊下はその人たちでごった返して私もAさんの部屋から出られない状態になり、経過を見守っている感じでした」