「きちんと調べて把握してください」「大丈夫です」
この保護者が8月中旬、校舎長と執行役員ら幹部3人との話し合いを持った際も、当事者意識の希薄な対応に呆れたという。
「この時点でも『四谷大塚の先輩講師にもう一人怪しい方がいるという話があるみたいですが、どのように調査されたんですか』と質しましたが、返ってきた答えにあ然としました。『きちんと調べて対応していますので、そういったご心配はないと思っていただいて大丈夫です。こういうことになってしまったので無理にとは言えませんが…』と今後も娘に通塾してほしいと言うのです。どういう聞き取りをしたのかと聞いても、『きちんとすべての職員を調べたので大丈夫です』と繰り返すだけでした」
森容疑者と「同好の士」である疑惑を集英社オンラインが報じた(♯8)当日の8月22日、中村容疑者は四谷大塚を「自主的に退社」し、その後は世田谷区内のアパートを引き払って実家に閉じこもっていたとみられる。先述の保護者はこれについてもため息をついた。
「四谷大塚には『森とLINEしている相手のLINEのアイコンまでわかってるみたいなので、きちんと調べて把握してください』と伝えたのに『大丈夫です』と生返事が返ってきただけ。結局は当事者としてきちんと調べてないし、森講師を懲戒解雇した時点で、塾としては他人事のような様子でした」
信頼していた講師に何度も裏切られ、傷ついたこの保護者の娘はすでに、四谷大塚に見切りをつけたという。
「娘には事件の内容すべてを伝えたわけではありませんが、講師が逮捕されたことは伝えています。事件のせいで中学受験を諦めるというのは違うと思い、他の塾に移ろうかという話もしましたが、本人は居残りがある塾に通うことについて『絶対やだ』と言うんです。この事件が私たち一家のトラウマになっていて、娘は仮に体験入学に行っていい先生に出会っても『また裏があるんじゃないか』と恐怖を感じるようになりました。事件については『お父さんともこのことを話したくない。誰とも、このことを話したくない』と深く傷ついているのです」