「(逮捕されたことは)何も知りませんでした。寝耳に水です」

四谷大塚が「事件後」に保護者に対して行った「補償」も、決して誠意が感じられるものではなかったという。

「森容疑者の逮捕後に『Aさんへの対応としては、入会金も含めてかかったお金は全てお返しすることに決まっています』と言われましたが、それもまったく行動が伴わないものでした。判断する権限のない校舎長に窓口対応を任せ放しで、当の校舎長は『本部と検討中』と繰り返すだけでした」

四谷大塚・本部(撮影/集英社オンライン)
四谷大塚・本部(撮影/集英社オンライン)
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このままでは埒があかないと焦燥感を募らせた保護者は、弁護士を立てて四谷大塚側に経緯の説明と事実確認を求めたのだが…。

「返すと言いながらずっと放置していた塾の月謝など返金分を、すぐに振り込んできたんです。しかし、私が計算した額よりも少なかったので弁護士経由で問い合わせると、10日以上経ってから『入会金は含んでません』との回答がきました。入会金は2万円程度なので、正直どうでもいいんです。だけど自分のほうから言い出したことを反故にして、こちらをバカにしてるとか思えない。軽く見られてるのが、すごく伝わってくるんです。なんでこんな嫌な思いをしなければならないのか。講師が逮捕されたからって終わる話ではないし、私たちはずっと苦しんでいるんですよ」

四谷大塚は大勢の子どもたちを預かる伝統ある学習塾としての責任を、どうとらえているのか。被害にあったAさんの保護者の懸念は尽きない。

「今は塾側も弁護士を立てていて、解決に向けての提案を協議中なので待ってほしいと言われていますが、四谷大塚の対応には本当におかしな点が多いんです。8月中旬の面談でも『校舎長はまだ28歳だからすごく力不足です。でも一生懸命対応してます』といったアピールをものすごくしてくるし、同席した執行役員も『そうですね』とうなずくばかりでした。でも我々はそんな答えを求めているわけではなくて、塾側が今後どう対応していくかについて、具体的な話し合いがしたいんです」

中村容疑者の逮捕後、四谷大塚の本部関係者に電話で問い合わせると「(逮捕されたことは)何も知りませんでした。寝耳に水です」との回答があった。

逮捕されたふたりのほかにも問題講師はいるのかいないのか。仮にいたとしても、こうした「他人事」のような対応では、それらを炙り出すのもままならないだろう。

警視庁は本日10月2日、生徒たちの名前、住所などの個人情報をずさんに管理していた四谷大塚に対し、個人情報保護法違反の疑いで書類送検する方針だ。

森容疑者によって晒されてしまった個人情報(知人提供)
森容疑者によって晒されてしまった個人情報(知人提供)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班