完璧なAIタレントに需要はないと思う
――ツイートをする時には、バズるようにとか考えるんですか?
ツイッターって攻撃的な書き方をする人もいれば、自分に酔っているような書き方をする人もいたり、色々なタイプの人がいますよね。でも、私の場合はとにかく思った通りにストレートに書くことを心がけています。
実は昔から文章を書くのが好きで、小学校の時には近所のおばさんに教えてもらって俳句を詠んだこともあります。
「朝露に キラリと光 青い空」
っていう俳句を作ったりとか。あと、日記もよくつけていました。大学受験は小論文があったので、ニュースを読んで論文を書く訓練をしていました。大学卒業後にカラオケの、JOYSOUNDで働いている時は、東京出張のついでに出版社を回って売り込みもしていました。編集者さんの提案してくれた内容が私には合わなかったので結局出さなかったけど、その頃から書くことには興味があったんだと思います。
――SNSで承認欲求を満たしたいという人も多いようですが、どう思いますか?
人間の趣味嗜好というものは、行き過ぎると戻っていくのだと思います。今は「AIタレント事務所」というものがあって、AIで作成されたキャラクターが、画面上で人間とほぼ同じような動きをするんです。顔もプロポーションも完璧なんですが、ネット上のコメントを見ると、魅力を感じないという意見も多いんです。完璧すぎるものには魅力を感じないと言うんです。
インスタではみんな画像を加工して完璧に美しいキラキラした写真ばかり載せていますが、受け取る側は、実は完璧なんて求めていないのかもしれません。欠点やストーリー性がないと温かみが生まれないし、見ていて面白くない。作られたものはつまらない。
昔、東スポと「スコラ」というグラビア雑誌(2010年廃刊)のお色気ページで記事を書いていたんですが、エロティシズムを考える上で、人間味ってすごく大事なんだなと感じました。
平成に入った頃から、毛穴が修正できるようになっていったんですが、写真家のアラーキー(荒木経惟)さんの写真はたとえ修正していなくても、汗の匂いが漂うような強烈なものがありました。完璧でないところ、グロテスクな部分に人間は惹かれるのかもしれません。
無機質な人間には、エロティシズムがなければ人間的魅力も感じられないのかもしれない。となると、AIタレントに需要はあるのかなと思います。今は目新しいので注目されていますが、奥行きやストーリーがないと、人を惹きつけるのは難しいのかも。インスタはみんな同じ顔になってきていて、つまらないですよ。