私たちは多かれ少なかれ「両利き使い」
図表1ー7のように右脳と左脳は互いに自分の得意な作業を分担しています。同時に、大脳半球と左右の運動野は交叉しており、右脳の運動野が身体の左半身の動きをコントロールし、左脳の運動野が右半身をコントロールしています。
ところが、残念なことに、ほとんどの人が得意な側の身体だけに頼って、もう一方の側の使い方が不足しているのです。
右利きと左利きという単純な分類で済ますのは、明らかに間違っています。これまで見てきたように、実は私たちは多かれ少なかれ、両利きなのです。一人ひとりがどの程度片方のサイドに偏重しているかには個人差があります。
つまり同じ右利きでも左脳と右脳の関与の比率が9対1の強い右利きの人もいれば、6対4の弱い右利きの人もいるということです。
スポーツの世界では、大谷翔平選手やイチローさんだけでなく、一般的な人口比よりも圧倒的に左半身を有効に活用しているアスリートが成功しています。
そんな中でゴルフのツアープロの多くが左利きにもかかわらず、左利き用のゴルフクラブのラインアップが充実していないという理由で右打ちにしています。日本を代表する女子プロゴルファーだった、岡本綾子さんはその典型例でしょう。
あるいは、日本のテニス界にその名を残す伊達公子さんも両手打ちバックハンド以外のすべてのショットを右手で打っていました。しかし意外にも彼女は、日常生活においては左利きなのです。
ここからわかることが一つあります。それは、一部の片方の身体の使用頻度が偏っている人以外は、すべて両利きであり、左でも右でも上手に技術習得できる資質を備えているという事実です。