里親について各メディアが報道で応酬
壱岐島の南西約4キロに位置する「原島(はるしま)」の海岸で3月20日、壱岐高校2年の椎名隼都さん(17)が遺体で見つかった。
椎名さんは長崎県の離島留学制度を使って里親の元で生活していたが、同月1日に行方がわからなくなり、17日から公開捜査をしていた。死後2週間以上とみられ、県警で死因を調査している。
この問題を巡っては、週刊文春が失踪後に「台風の中、外で正座させていた」「食事のおかずが里親一家と比べて少なかった」などの虐待疑惑を報じれば、NEWSポストセブンが里親Aさんの「反論」を掲載するなど、場外乱闘の様相を呈している。
そもそも離島留学は、1970年代に長野県から始まり全国に波及した山村留学制度にあやかり、長崎県が2003年度から全国に先駆けて「高校生の離島留学制度」を導入した。
同制度では県内外に広く生徒を募集し、壱岐高校や対馬高校など5校で受け入れが定着。壱岐市では2018年度から小中学校の児童・生徒に対象を広げた「壱岐市いきっこ留学制度」を開始、「里親留学」「孫戻し留学」「親子留学」の3タイプを提唱し、補助金制度も整備した。この制度を利用し、昨年の段階で壱岐島には小中学生41人、高校生36人が留学している。
このうち里親留学はホームステイ元となる里親に月学8万円(食事代込み)の委託料が支払われ、実の親の負担は半額の4万円で、残りは補助金で賄う方式だ。
椎名さんの里親のAさんは4人家族で、椎名さんを含めた7人の留学児童・生徒と一緒に生活していた。
椎名さんは中学2年時からAさんを里親に留学生活を送っていた、半ば「ベテラン」。失踪当日は高校の卒業式で、3年生の留学生たちは卒業式を終えてその日のフェリー最終便で本土に帰る慣習になっていた。
椎名さんも卒業する留学生を見送るため、Aさんらとともに船着場の郷ノ浦港に向かったが、「マスクと傘を忘れた」と言い残してその場を離れて以降、行方が分からなくなっていた。
里親のAさんは集英社オンラインニュース班の取材に対し、椎名さんを預かるようになった経緯から、これまでの報じられたことなどについて丁寧に語った。誤解を避けるために一問一答形式で忠実に再現する。