「台風の中、正座はさせていないが…」

――失踪する直前にも叱ったことがありましたか。

直近は3月1日の話ですね。隼都の部屋は1階で、僕ら夫婦や子供たちの部屋が2階にあって、常日頃から「用事もないのに2階には上がってはいけないよ」という決まりにしていました。
ところが3月1日の昼、2階の子供部屋の布団に隠れてたのを嫁に見つかって「見送りするための洋服がないから2階に探しにきた」と言い訳をしたそうなんですけど、2階に隼都の服があるわけないでしょって話になって。
あとから警察の調査でその時間帯にスマホを触っていたってわかったんです。本当は普段から頻繁にスマホを触っていたようなんが、全然気づきませんでした。だからバレたらどうしようっていう考えがずっと隼都の頭の中にあったのかもしれません。

その何日か前に、隼都のスマホケースが空っぽで、スマホがないって大騒ぎしたことがありました。多分「死にたい」ってスマホに残してた頃だと思うんです。失踪後に警察の調査で2月22日にそのメッセージを入れてたのがわかったんで。

子供達の迎えに隼都一人を家に残していって、帰ってきたらスマホがケースに戻ってたんですよ。これどうしたのって言ったら何も答えなくて、もうそこはうやむやのままです。
使いたい時はいつでも言ってくれって伝えていたんですが、自分がスマホに依存するのがわかってるから言いたくなかったのかもしれない。

むしろ部活の遠征とか連絡とれなきゃ不便なので、こっちから持たせてた時もあったんです。でも本人から「使いたい」と申請してきたことはなかったです。

――台風のなか正座させたという報道もありましたが事実ですか?

正座はさせてないです。台風の話は去年の夏のことで、発端は隼都のスマホを他の子が勝手に使っていたことだったんです。
21時になったらスマホを回収するボックスがあるんですけど、そのボックスを置きっぱなしにしてたら隼都のスマホがなくなっていた。しかも隼都が寝てる時だったので、それはおかしいだろと問い詰めていくうちに、実際に触っていたのは自分の子供2人と留学生2人の計4人が、どうやら動画を見ていたらしいということになった。

隼都にも留学制度の決まりで、他人にスマホを使わせたらダメだぞって言ってたので、みんなで外に出て展望台に行った。「台風の中、なぜこんな状況で話をするかわかるか」と言いながら、展望台の広場で風の影響受けないようにしっかりとあぐらで座って、全員で話をした。
でも結局寒いのもあって10分もいなかったんですよ。まあでもせっかくの機会なので「台風の日に外出たことあるか」とか話したり、帰り道は笑いながら手を広げて風の強さを感じてみたり。
帰ったら嫁さんが温かいコーンスープを用意してくれていて、それを飲んでみんなで交代でシャワーを浴びつつ、一人ひとりにもうこんなことをするなよと釘を刺しつつ終わりました。

〈壱岐市・男子高校生死亡〉 “虐待疑惑報道”の里親に「留学生受け入れはお金目的?」「台風のなか正座させた?」「亡くなる直前の動向」…暴力・虐待疑惑・誹謗中傷について激白150分_4
壱岐島
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Aさんの話通りであれば、「虐待」と表現するのは大げさかもしれない。しかし、椎名さんがAさんに悩みを打ち明けられないまま失踪し、若く尊い命を散らしてしまったのも事実だ。後半では地元で知られているAさんの人となりや、留学制度を支援してきた自治体の反応も含めて検証する。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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