再びテニス界のトップをめざして
もちろん、それら大坂が有する影響力や発信力が、テニスでの実績と戦績に依拠しているのはまちがいない。本人が今現在求めるのも、コート上での成功だ。
「10」
これは今年4月上旬の時点で、彼女が「年内に到達したい」と宣言したランキング。
そして、「1」。これは彼女が、「来年中の目標」として、一度は口にした数字だ。その後、「これはちょっと大胆すぎるわね、やっぱり5位くらいで……」と恥ずかしそうに笑みをこぼし言葉を切ると、仕切り直しとばかりに明言した。
「うん。やっぱり、1位。目標は大きい方がいいし、それがわたしを、駆り立ててくれるんだもの」——と。
迷いを隠す世間ずれした器用さを、彼女は持ち合わせてはいない。
24歳の未完成な若者の姿のままで、大坂なおみは、新時代の旗手であり続ける。
写真 Robert Prange/Getty Images
取材・文/内田暁