男子選手の突きをボディで受けても顔をゆがめるどころか、瞬きひとつしない“女子大生空手家”の目代結菜。キュートな見た目も相まって話題の彼女。来月に開かれる大会への意気込みから引退後の夢や恋愛観まで話を聞いた。
「男子の突きも内臓まで効かなければ耐えられる」「今は恋は捨ててます」鋼の腹筋を持つ女子大生空手家、目代結菜の現在地
YouTubeチャンネル『黒帯ワールド』の企画、「高速パンチ女子高生を殴ってみたら鋼鉄ボディだった!」が大バズりした新極真会フルコンタクト空手の目代結菜。無差別級の頂上決戦、『全世界空手道選手権大会』を翌月に控えた話題の空手女子に話を聞いた。

常人には理解できない表面的な痛さとは?
――女子高生のときに出演したYouTubeチャンネル『黒帯ワールド』で、「高速パンチ女子高生を殴ってみたら鋼鉄ボディだった!」という動画が、再生回数600万回を超える大バズリ! “鋼の腹筋女子高生”というニックネームが付けられましたが、本当にボディを殴られても平気なんですか?
どういう言葉で表現するのが正解なのかわからないのですが、シンプルに痛いか痛くないかで言えば、痛いです。でもその痛さは表面的な痛さで、内臓までは届いていないから耐えられる痛さ…という表現が一番正解に近いような気がします。
――どういう練習をしたら、耐えられるようになるんですか。
ひとつは腹筋を鍛えることで、もうひとつはとにかく打たれることです。小学1年生で空手を始めて、もう何千万発というくらい打たれていますから(笑)。

――やっぱり痛いのは痛いんですね。
痛いですよ(笑)。ちなみに空手の試合ではすべての攻撃を躱わすということは不可能なので、試合中はダメージを減らすために、ほんの少しだけポイントをずらすという工夫をしています。
時間にすればゼロコンマ何秒、ポイントにしたら数ミリの世界なんですけど、完璧に入らない限り、大ダメージにはならないんです。
女の子だって暴れたい!
――6歳で、フルコンタクト空手・新極真会の門を叩いたとうかがいました。
小学1年生のときにテニスや水泳などの体験に行ったんですけど、その中で一番私に合っていたというか、しっくりきたのが空手で。当時女の子が変身して戦うアニメ『プリキュア』にハマっていて、その影響も大きかったと思います。
――名キャッチコピー、“女の子だって暴れたい!”ですね?
私もプリキュアになりたいと本気で思っていました(笑)。

――空手を始めて、最初にぶつかった壁は何だつたのでしょう?
小学5年のときの全国大会です。準決勝で当たった子が強くて。ボディに突きをもらい、その場で落ちちゃったんです。同じ学年でこんなに強い子がいるのかと驚いて。本気で誰かに勝ちたいと思ったのは、このときがはじめてだったような気がします。
――空手家に対して失礼な質問かもしれませんが、試合で負けたときは悔しくて泣いたりするものですか。
小学6年までは負けるたびにピーピー泣いていました。負けて泣いているときに、母親に言われたんです。「そうやって泣いているから、いつまでも強くなれないんじゃないの?」って。
――超スパルタですね。
ですよね(笑)。でも今振り返ると、父も母もそういう厳しい言葉で、ずっと私の背中を押してくれていたんです。だから頑張れたし、強くなれたなと。
――今年の10月に4年に一度の世界大会、『全世界空手道選手権大会』が開催されます。
空手を始めた頃からこの舞台で優勝することを目標にしてきたので、優勝できたら現役を引退してもいいというくらいの気持ちで挑みたいと思います。
――今度の大会は無差別級、自分より大きい選手とも戦うんですよね?
女子でも身長が180cmを超える選手や体重が90kgを超える選手が出場しているので、どうやって戦うかは、研究もしていますし、対策も立てています。

組み手でボディへの突きをくらう目代選手
――格闘技では一般的に体の大きな選手の方が有利だと言われていますが。
空手も大きい方が有利というは同じだと思います。でも小さい選手が勝てないのかと言ったらそうでもなくて。ステップで相手の攻撃を交わしながら技が当たらないような展開に持ち込んで、瞬間のスピードで勝つということもあるので、いかにして自分有利な組み手に持っていけるかが勝負の分かれ目です。
見ている人にとってもその攻防の激しさが、フルコンタクト空手の面白さだと思います。
――対戦相手に合わせて、ご自身の体を大きくすることは考えない?
考えていないです。あくまで自分の適性体重で、どうやって相手に勝つかを考えています。
男子に小学生の頃から話しかけ辛いと…
――先ほど話が出ましたが、すでに引退も視野にあるのでしょうか。
2025年に、フルコンタクト空手のオリンピック競技化を目指して設立されたWFKOの第1回世界大会があるので、10月の大会で優勝して、2年後WFKOの初代王者として名前を刻んで、そこで現役を引退するのが理想かなと思っています。

――現役をやめた後のビジョンもあるのでしょうか?
現役をやめても空手を広めたいというのがあるので、そのためには何が一番いいのか。就職するのがいいのか。YouTubeがいいのか、正直迷っています。大学では理系なので、最終学年になる来年は実験が多くなって空手の練習する時間が削られます。2年後の大会に出場して優勝するために、1年間休学するという選択もあります。
以前、芸能事務所にお世話になっていたことがあるんです。たくさんの方々に支えていただいたことに感謝し、そこも含めて大会後には自分と向き合おうと思っています。
――SNSにはお洒落な私服姿がアップされていたり、ダンスでテレビの取材を受けたこともありますよね。
可愛い洋服が好きなので、痩せて細くなりたいです。だいたいいつも太いので(笑)。これまでの人生で一度も細かったことがないので、ついた筋肉を全部削ぎ落として細くなってみたいです。ダンスも大好きなので極めてみたいですね。

――恋は、どうですか。
稽古の後はアザで豹柄のようになっているし、追い込んだときは腹筋が4つに割れるし…男の子からは、小学生のころから話しかけにくいオーラが出ていると言われ続けてきたので、今は恋は捨てています(笑)。

「今日の稽古で出来たアザです」と笑顔で話してくれた
ますますの活躍を期待するばかりだ。
取材・文/工藤晋
写真/石田壮一