ギャラリーはかつて“ちょんの間”といわれた社交街で…

「売買春はたしかに違法だけど、戦後、さまざまな事情があってできた街で、たくさんの人が生きてきた街です。それを単に負の歴史というひどい目線で見てつぶして作り替えてしまうのが受け入れ難かった。もっと違う街の再生はできないだろうかとも、だんだん考えるようになったんです」

2019年3月19日、沖縄の地元紙「琉球新報」に掲載されたインタビュー記事で、こう発言していたのは、許田盛哉容疑者(34)。許田容疑者は沖縄県那覇市安里の飲食店「おでん東大」の店主で、義理の母でもある長濱美也子さんを殺害したとして、12月6日に殺人容疑で逮捕された。
地元出身のアーティストらの作品を展示する「PIN-UP Gallery(ピンナップ・ギャラリー)」の運営者として紙面に登場していた許田容疑者。その活動は、複数の地元メディアに取り上げられていたが、これほど注目を浴びたのは、そのギャラリーが立地していた「宜野湾市真栄原(ぎのわんし・まえはら)」という場所とも関係がある。

〈沖縄・『おでん東大』事件〉母親殺人容疑で娘夫婦が逮捕! 有名ギャラリーイケメン店主がこだわった「売春街」と検索履歴に残っていた「完全犯罪」の文字_1
許田容疑者のフェイスブックより
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実は、この「真栄原」という場所は「真栄原新町」とも呼ばれ、かつては「ちょんの間」といわれる売買春店が軒を連ねた街として知られていたのだ。
街は、付近にある米軍普天間飛行場の米兵相手の「社交街」として勃興し、やがて地元住民や観光客相手の売買春街へと移行。しかし、欲望に目をぎらつかせた男性たちで賑わった一角は、2010年に始まった宜野湾市と県警による「浄化作戦」で壊滅状態となった。

ギャラリーは、かつて売買春が行われていた店舗を改装してオープンしており、冒頭のインタビューでうち捨てられた「街」への執念を語っていた許田容疑者は、無精ひげを生やし、アート系イケメンといった風情も漂わせていた。
そしてこの記事から約3年後、まったく異なる形で再びメディアの注目を浴びたことになる。

〈沖縄・『おでん東大』事件〉母親殺人容疑で娘夫婦が逮捕! 有名ギャラリーイケメン店主がこだわった「売春街」と検索履歴に残っていた「完全犯罪」の文字_2
地元の番組にもよく出演していた(許田容疑者のフェイスブックより)