2023年度(1月~12月)に反響の大きかった政治記事ベスト10をお届けする。第1位は、創価学会名誉会長・池田大作氏が死去し、それについて現役の学会員たちに取材した記事だった。(初公開日:2023年11月21日。記事は公開日の状況。ご注意ください)。

#1

永田町では観測気球的に噂を流すこともあった

「後継者問題はそもそも存在しない」と信者たちは語っていたが、池田氏の血縁者たちが特別な役職に就いて「代行」のようなことを務めることはないのだろうか。池田氏には存命の息子が二人いて、長男の博正氏(70)はSGI(創価学会インタナショナル)副会長、三男の尊弘氏(65)は創価学園副理事長と、ともに学会内の要職に就いている。この兄弟と同世代でもある学会員の一人がこう語る。

「ウチはそもそも世襲制ではないので、それはないです。ただ何らかの形でお立場はつくかと思います。海外の政府の要人ですとか、文化人がお相手ともなると、外交的に池田ファミリーが表に立つのが大事なケースも出てきますので。しかし、宗教指導者の跡目とかそういうことではありません」

2008年に撮影された池田大作氏(写真/共同通信社)
2008年に撮影された池田大作氏(写真/共同通信社)
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この学会員は、池田氏が最後に姿を見せた公式の場である2010年5月の本部幹部会にも出席していた。当時の池田氏はどんな様子だったのだろうか。

「池田先生はそれまでは毎月、本部幹部会に来られて会合をやっていました。ところが、6月の会合では池田先生不在の中、『これからのことは自分たちで決めていきなさい』というメッセージが全国の創価学会の会館に中継されたんです。そのときは体調に問題があるようなことは何も聞かなかったし、その後も聖教新聞にときどき写真が載ったり、書籍に先生のご指導が載ったりもしてましたから」(同前)

しかし、それから長らく、池田氏は公式の場に出ることはなくなった。学会員の間で健康不安説や死亡説がささやかれたことはなかったのだろうか。

「先生もその当時80代でしたから、学会員からしたらお体のことや具体的な病名を詮索するのに何の意味があるんだという感覚でしたね。週刊誌にはこんな病気だ、あんな病気だと書かれていましたが、先生のことをあんまり知らない人が書くわけですから、みんな腹立たしく思っていたでしょう。永田町界隈では観測気球的にそういう噂を流して反応を確かめることもよくあるので、それが事実だと思ったこともないし、それ以前に体調不良を隠す理由がない。そもそもこの時代にそんなことができるはずがないですから」(同前)