主人公・鷲津亨の仕事「議員秘書」って?

「秘書の“秘”は、秘密の“秘”」。草彅剛が演じる主人公・鷲津亨は初回、新人秘書の蛯沢眞人にそう教える。

その言葉通り、「秘書によっては、国会議員のプライベートからカネの流れまで、すべて知っています」と現役の自民党国会議員秘書は打ち明ける。

普段、テレビなどに出ることはほとんどない秘書だが、その情報網はあなどれない。

「議員は落選で永田町を離れることもあるけど、秘書は議員が落選しても、他の議員の秘書になってずっと永田町にいます。永田町で数十年過ごしている秘書の情報網は、中堅議員の比ではありません」(政党職員)

“永田町視聴率50%超え”と言われる月曜ドラマ「罠の戦争」。秘書が議員のスキャンダルをい週刊誌にリーク、権力により捜査ストップほか…ドラマ顔負けのリアル政界に潜むドロドロ劇_1
「罠の戦争」ポスター(読者提供)
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そのため、「議員でも秘書に頭が上がらない」「議員事務所の実権は事実上、秘書が握っている」というケースも珍しくない。

一方で、議員のパワハラや厳しすぎる言動に辟易としている秘書もいる。

「秘書に対して理不尽な言動を繰り返してきた代表的な例は、逮捕された河井克行・元法相でしょう。河井氏は秘書らから恨みを買って、週刊誌に自身の選挙違反の情報を流されたと言われています」(自民党の国会議員)

時には秘書があえて国会議員を罠にはめ、弱みを握ることも。

「インターネットが発達していなかった平成初期までは、秘書が議員に違法のアダルトビデオを見せたり、法律に引っかかる風俗店に連れて行ったりして、後から『違法ですよ。バレちゃってもいいんですか』とゆさぶるケースもありました。秘書は議員の秘密を多く握るからこそ、敵に回すと怖いんです」(前出の秘書)

しかも、本物の秘書は、ドラマよりももっと巧妙に週刊誌を利用するとも。

「秘書からのタレコミがドラマのように直接、週刊誌記者に来ることはまれ。秘書も、自分が情報源だとばれることのないように、他の人を介して、うまく週刊誌にタレこむのです」(週刊誌記者) 

だからこそ、少なくない議員が秘書に家族を雇うのだという。

「自民党では、二階俊博元幹事長の息子や森山裕選挙対策委員長の娘が、野党でも、立憲民主党の枝野幸男前代表の妹など、家族が議員事務所で長年にわたって秘書を務めている例は数え切れません。岸田文雄首相の長男や、岸信夫・前衆院議員の長男も、後継者としての出馬を見据え、事務所の秘書を務めてきました」(全国紙政治部記者)