警視庁保安課は3月16日、企画AVなどアダルトコンテンツ流通大手「ソフト・オン・デマンド株式会社(SOD)」(本社・東京都中野区)の代表取締役社長、井口翔容疑者(40)と店舗責任者の樋口剛(27)を風俗営業法違反(無許可営業)の疑いで逮捕したと発表した。
グループが手がける飲食部門で、風営法の許可を取らずに所属セクシー女優らに接客させたとみられる。AV業界で長年存在感を発揮してきた最大手トップの逮捕で、業界に激震が走っている。
調べによると、同社は東京都公安委員会の許可を受けず、女性従業員にカウンター越しに不特定の客に対し接待をさせていた疑いがある。井口容疑者は容疑を認め、樋口容疑者は「お店の営業方針に従っただけだ」と否認しているという。
現場は同社が歌舞伎町で「大人のテーマパーク」をコンセプトに2020年10月に開業した飲食ビル「SOD LAND」。1階が女子社員による総合受付、地下1階と地上2〜4階までが「AV女優フロア」や「風俗嬢フロア」などに分かれたコンセプトカフェだ。
同社の営業形態に詳しいプロダクション関係者が語る。
「赤ちゃん言葉で哺乳瓶から飲ませてもらい、孫の手で股間を…」エロすぎた大人のテーマパークSOD LANDの社長が逮捕!「警察は以前からガールズバーを摘発したいと」過去には何度も注意・指導も…
「客が赤ちゃん言葉でよだれかけをつけて哺乳瓶から飲ませてもらう」「栗のはいったサワーを注文し、栗をいじると店員が声をだし…」3月16日、朝からおこなわれた警視庁の逮捕レクにて、生活安全課幹部が前々日に逮捕した「ソフト・オン・デマンド」が経営するバーでおこなわれていた“お馬鹿すぎるオプション”の内容を読み上げると、メモをとる記者たちは必死に笑いをこらえていたという。
「こういう報道になっていることに戸惑っております」

歌舞伎町にあるSOD LAND (撮影・集英社オンライン)
「摘発当日の14日はホワイトデーということもあり、お客で賑わう中、私服警官が『動くな』となだれ込んできてあっという間に店長や従業員が連れていかれたそうです」
同社には飲食事業部があり、2018年に秋葉原の駅前『女子社員酒場』を開店、その後も本社ビルの1階に「SyainBar」を開くなど、ファンの開拓とともにAV嬢のセカンドキャリア育成に取り組んできたという。しかし、何年も営業実績があるのになぜ今摘発されたのだろう。
前出のプロダクション関係者が続ける。
「業態としては風営法の許可を取っていない飲食店なので、接待行為はできません。ですが、これまでにも過剰なサービスで営業停止処分を受け、その後も再三にわたって注意・指導を受けていました。換気や消毒などコロナ対策には結構気をつかっていたのに、なぜか風営法の届けは出さなかった。
マジックミラー越しに水着で踊る女性店員を見ながらお酒が飲めるスペースがあるなど、他にもきわどいサービスを続けられていたので、『容認されている』と当局を甘く見ていたんでしょうね」
コロナも収束が近づいて『さあこれから』ってときに…
また、AV業界関係者の一人はこう証言する。
「あそこのビルは元々ビデオボックス関連で、SODさんが秋葉原でオープンした『女子社員酒場』が成功したので『歌舞伎町でもやってみてくれ』と請われてやり始めたんです。風営法の話は前から検討していたはずなんですが、許可を取るのは結構大変なので、放置してしまっていたんでしょう。
AV業界は今、昨年6月に施行された新法(AV出演被害防止・救済法)もあっていろいろ大変なんですよ。コストばかりかかるし、女優が途中でNG出してお蔵入りになった作品もたくさんある。『SOD LAND』もコロナのときに営業を始めたので、客の入りも全然で、『さあこれから』ってタイミングで摘発された。社長の井口さんは一昨年5月に就任したばかり。気の毒といえば気の毒ですね」
しかし、歌舞伎町の近隣のキャバクラ店経営者はこう警鐘を鳴らす。
「無許可で営業を続けてたら、そりゃ手入れが来ますよ。実はウチも何年か前にやられたけど、そのころから警察は『次はガールズバーをやりたい』とずっと言ってたから、狙われたんでしょう。2年前くらいに人気ユーチューバーが宣伝して有名になったキャバクラも、何回か注意されたのを無視して摘発されましたからね。コロナが明けて警察の取り締りも本格的になったということでしょう。うちらも気を引き締めなければと、ヒヤヒヤしてますよ」
歌舞伎町をざわつかせた摘発当夜はどんな状況だったのだろう。
「3月14日の午後11時少し前だったと思います。ビルの入口を囲むように刑事さんぽい男性が4人くらい立っていて、自動扉は開きっぱなしでした。営業時間中なのに店内の照明もついておらず、入口の奥でもう1人の男性がゴソゴソと何かモノを運んでる様子でした」(近隣カラオケ店スタッフ女性)

3月15日、中野の本社ビルにも捜査がはいった
近くのバーで働く30代の男性スタッフはこう語る。
「SOD LANDの女性従業員に『23時から25時までは深夜営業やってます!』と聞いたことがあるので、だいたいは日付をまたいで営業していたのは間違いないですね。風営法の適用を受けると24時過ぎの接待営業はご法度になりますから、それもあって無許可で続けていたんでしょう。
お客さんは20代から60代の男性が中心ですが、最近はAV女優推しの女の子もいるので、若い女性客も少しはいたみたいですよ。オープン当初は列をなすほどの人気だったけど、コロナの影響かすぐに客足が落ちて、最近は週末やイベントやってるときぐらいしか賑わってる様子はなかったですね。
従業員はAV女優、風俗嬢、エロい素人の子って感じで、みんなエロい話してくれるし、男が行けば絶対楽しいと思いますよ。特にオプションが面白くて、地下1階でウーロンハイを頼むと孫の手を使って客の乳首とか股間を弄ってきたり、栗の入ったハイボールを飲む時に栗を弄ったら女の子が感じる演技してくれたり。
他にも『スペシャル』というお菓子メニューを頼むと、2人入るのがやっとという奥の狭い個室に連れて行かれ、アクリル板越しの女の子が胸や尻を強調しながら棚の上のお菓子を取ってくれて、その後チェキが撮れる、っていうのもありました。3階は割と有名なAV女優とお酒を飲みながら話せるフロアで、オプション次第ではいろんなサービスもありました」
営業見通しについて本社を直撃すると…
現在は営業を停止しているが、せっかくなので各フロアごとの詳細な営業実態をお伝えしておこう。
1階「総合受付」
入り口のすぐ横にはAVのポスターが大きく貼られており、女性スタッフが各フロアの案内やシステムの説明をしてくれる。各フロアでの料金はリストバンドで集計されて、最後に受付でお会計。他にもオリジナルグッズが当たる1000円ガチャ、働いている子達のAV作品、アダルトグッズも販売している。客はまずここでニックネームと性癖を記入したシールを貼り、入場。

1F総合受付
地下1階「立ち飲み女子社員酒場」
新人女優がカウンターに立ち、立ち飲み屋のスタイルで喋ることができる。
「高感度クリハイボール」「俺の乳首はクリ●リス乳首ラビリンスウーハイ」「調教済み変態レモンサワー(客をムチで叩く)」「スペシャル童貞スナック」などが人気メニュー。

B1女子社員酒場
2階「半立ち飲み女子社員酒場」(昨年10月に「風俗研究所・カクブツサロン」からリニューアル)
風俗の仕事をしている女の子が多く働くフロア、女の子がホールスタッフとしてドリンクを提供して会話を楽しめる。

3階「SyainBar KABUKICHO」
有名セクシー女優と会話ができるフロア。壁に面した半円型のテーブルの中に女優さんがいて、囲むように椅子が並ぶ。他の階にはない高価な焼酎やウイスキーも注文できる。ドリンクなどを頼むとチップを渡され、それを使って女の子とゲームをして、チップを増やして受けられる特典もある。テーブルの下でのマッサージや耳元で囁いてくれるオプションサービスもある。

4階「SILENT BAR」
女の子の水着姿をマジックミラー越しに楽しめる(女の子からは見えない)フロアで、私語は厳禁。「パイ揺れマティーニ(目の前でカクテルをシェイクしてくれる)」「床下VIP(マジックミラーの床下から女の子を眺められる)」などが人気。

これからの営業の見通しなどを聞こうとSODに取材を申し入れたが、広報担当が「弊社の方も情報を集めております。プレスリリースを出すのでお待ちください」と繰り返すのみで、きちんとした回答は得られなかった。関係者によると「店はきちんと風営法の許可を取得し、リニューアルも考えている」という。
※「集英社オンライン」では、コンセプトカフェやホストクラブ・風俗店といった夜のお店にまつわるトラブル・事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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