「期待を裏切らないように」4作目の『かぐや様』に挑む声優・古賀葵。初めてだらけの現場で鍛えられたこと

赤坂アカ原作のコミック『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』は、累計1900万部を突破している人気作。これまでにテレビアニメ3期、実写映画2本とマルチに展開されている作品だ。

その最新作『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』がテレビでの放送に先駆け、12月17日より劇場にて特別上映される。

――『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』の製作が決定した時の感想を教えてください。

テレビアニメ3期の『ウルトラロマンティック』で終わりなのかなと思っていたので、まだ続きが見られるんだ、かぐやたちと一緒にストーリーを紡いでいけるんだと嬉しく思いました。

――なぜ終わりだと思ったのでしょう？

物語としても区切りのいいところだったというのが1つ。

それから、これまではナレーションの青山（穣）さんが「まだまだまだまだ続く！」と締めていて、3期の終わりでも同じようにトライしていらっしゃったのですが、音響監督さんから「台本通りでお願いします」と言われてくつがえらないのを見て。本当に終わりかもしれないな、と。

――なるほど。今回はテレビ放送に先駆け、劇場でも特別上映が行なわれますね。

なんて贅沢なんだ、と思いました。もう終わりなんだと勝手に思い込んで、寂しさを感じていたので、とにかく嬉しかったですね。

――4作目とのこともあり期待の声も多いと思います。今回の作品に、どのように取り組もうという気持ちでしたか？

3期の最終回を見た『かぐや様』ファンの方がこれで最後だと思ったようで「古賀さんが四宮かぐやを演じてくださって、本当によかったです」という言葉が届いたんです。その言葉を聞いた時に、ファンの皆さんが信頼を置いてくださっていることが伝わってきました。だから、その期待を裏切らないようにしたいなと思いましたね。

――脚本を読まれての感想を教えてください。

3期が「わあ、よかったね！」と思えるハッピーエンドで終わった一方、まだ決着はついていなくて。その続きということで、今回は、かぐやたちがそれに対してちゃんと向き合うシーンが多く描かれるので、これまでの関係性とはまた違う、一段階上がったステージに入っていくところを見られるんだなとわくわくしました。

その一方、自分の気持ちに素直になっていったかぐやが、また新しい一歩を踏み出すことを想像したら、気合が入りましたし、恐怖心もありましたね。白銀役の古川（慎）さんがどう来るのかを、台本を読みながらたくさん考えました。

――1期から3期の中でどんどん変化していったかぐやを、古賀さんはどのように見守っていらっしゃいましたか？

最初のころから考えると「本当に、よかったね！」って。心を閉ざして、人と関わらずにずっと1人で生きていくという選択をしていたのに、生徒会のメンバーがかぐやの心の扉を1つずつ開いてくれて、明るい世界に飛び出していったイメージがあります。

それは私も同じ。この作品が素敵な役者の方たちに出会わせてくれました。私の中でも、いろんな扉が開いていって、すごく成長させていただいたんです。

――主演として現場を引っ張っていく中で、気持ちの変化はありましたか？

最初のころは、みなさんにご迷惑をおかけしないように「どうにかついていかねば」という感じだったんですけど、キャストやスタッフの皆さんと接していく中で「受け身ではダメだな」という思いが強くなりました。
『かぐや様』の現場は、みんな攻めの姿勢といいますか、やってやるぞ精神がある、意欲の塊みたいな人たちばかりなんです。それを見ていると、自分も感化されましたし、かぐやを通じて伝えたいこととか、古賀葵としてチャレンジしていきたい、という気持ちが強くなったなと思います。

――かぐやを演じられて、古賀さんとしての新しい発見もありましたか。

かぐや様のキャストの皆さんと一緒にやれたからというのもあるんですけど、引き出しが増えたな、と思います。この作品は、シリアスパートとギャグパートの差が激しいので、ここからここまで、と幅を決めてしまうと、人間味が半減してしまうな、と思ったんです。大前提にキャラクターはあるんですけど、ギャグのときは思いっきり突き抜けるまでやるとか、シリアスなときはとことん落とすとか、幅のつけ方がグンと広がったな、と思います。

――古賀さんにとって、かぐや様はどのような作品ですか？

初めての体験をたくさんさせていただいて、挑戦する心をすごく鍛えていただきました。すごく視野が広がりましたね。一番大きいのは、自分に自信を持てるようになったことです。

――今後、どのような役に挑戦してみたいですか？

まっすぐなキャラクターも、もっともっとやりたいし、かぐやを演じてから、お姉さん役をやらせていただく機会が増えたので伸ばしていきたいな、と思います。アニメーションはもちろん、吹替の現場でも役がいただけるよう頑張っていきたいです。

取材・文／ふくだりょうこ　撮影／梁瀬玉実