文庫、完全版、リミックス版…時代の変わり目とともに生まれ変わる『ベルばら』
少女漫画の頂点に燦然と輝く『ベルサイユのばら』は、1972年に「週刊マーガレット」で連載がスタートし、1973年12月には全82回の連載が完結する。連載開始と同時に大ヒットとなったが、日本中を席巻する大ブームとなったのは1974年の宝塚歌劇での上演によるところが大きかった。しかしこの頃にはコミックスもすでに完結し、作者の池田理代子氏は漫画家仲間と海外旅行中。帰国時に空港で取材陣に囲まれてそのフィーバーを知った、というのはファンの間では有名な話だ。
![ベルサイユ宮殿でもギフトとして販売!? ベルばら50周年記念本―担当編集が語るトリビア_2](https://shuon.ismcdn.jp/mwimgs/2/9/744mw/img_29915eb40f48cda74cadcd1dc15c37fe1006101.jpg)
「『ベルサイユのばら』は、少女漫画で初めて「ベルばら」という<略称>が使われた作品だという説もあるくらい、何度もブームを起こしてきた作品です。1978年に私が集英社に入社してからも、アニメ化され、映画化され宝塚で舞台化されるたびに雑誌で特集が組まれ、そのたびにコミックスが売れるのを目の当たりにしてきました。「50年史」のコーナーでは、昭和、平成、令和の「ベルばらブーム」を、カラーで特集しています」(担当編集者:有馬さん、以下同)
![ベルサイユ宮殿でもギフトとして販売!? ベルばら50周年記念本―担当編集が語るトリビア_3](https://shuon.ismcdn.jp/mwimgs/8/6/744mw/img_8689c38eb0f150fb0f9caa665ac6623e375439.jpg)
池田理代子氏自身も、『ベルサイユのばら』に比肩する傑作『オルフェウスの窓』の連載終了後、1980年からオスカルの姪っ子が主役を務める『ベルサイユのばら外伝』を執筆。1986年から連載された『エロイカ』では、『ベルばら』の実質的な続編として、アランやロザリーなどの活躍を描いている。
![ベルサイユ宮殿でもギフトとして販売!? ベルばら50周年記念本―担当編集が語るトリビア_4](https://shuon.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/744mw/img_364dbdae027ae320030bb76f5fdb3af2274184.jpg)
常にアップデートされる『ベルばら』はコンスタントに売れ続け、1994年には文字本だけだった集英社文庫から、手塚治虫作品とともに初めての漫画作品として選出され発売されることになる。以降、雑誌掲載時のカラーに加えて新規着彩したページを加えた「ベルサイユのばら完全版」やコンビニエンスストアで発売されるリミックス版などが続々刊行されていくことになる。
![ベルサイユ宮殿でもギフトとして販売!? ベルばら50周年記念本―担当編集が語るトリビア_5](https://shuon.ismcdn.jp/mwimgs/3/4/744mw/img_3468fb96145fa45c06430c0977509ea3280385.jpg)
「集英社の人気作品の関連書籍を作る部門としてコミックメディア編集部が1990年代に設立され、私は1995年にその一員になりました。そしてこの頃になると、連載当時の担当者がすでに引退しているケースも増えていて。なので、『ベルばら』のように、雑誌での連載が終わっても人気が続く作品については、コミックメディア編集部で担当する、という流れが生まれたんです。雑誌に掲載され、コミックスとして販売されてきた名作たちを再度売り出すために、コミック文庫をはじめとして、いろいろな「形」を考える必要がありました」