1978年の表紙を見て、すぐに目につくのは女優たちの髪型だ。ボリューミーなウェーブをかけた、外に流すレイヤー。のちにサーファーカットや「聖子ちゃんカット」と呼ばれる髪型の原型だ。そして、その髪型の発信源となったのが、4月号の表紙を飾ったファラ・フォーセットである(当時は夫の名字も含めた、ファラ・フォーセット=メジャーズ名義。1982年に離婚。2009年、ガンとの闘病の末、62歳で逝去)。ヒットTVドラマ『チャーリーズ・エンジェル』(1976~1981)の初代エンジェルのひとりである彼女は、トレードマークのゴージャスな髪と白い歯で一世を風靡した。

ファラ・カットの髪をなびかせて、最強の美女たちの時代が到来
70年代の“ウーマン・リブ”のムーブメントがショービズ界にも押し寄せる。『チャーリーズ・エンジェル』『バイオニック・ジェミー』などヒットTVドラマのヒロインたちは、ゴージャスで最強!
ロードショー COVER TALK #1978
「ファラ・カット」到来!

1月号/トレイシー・ハイド 2月号/ジャクリーン・ビセット 3月号/リンゼイ・ワグナー 4月号/ファラ・フォーセット※初登場 5月号/テイタム・オニール 6月号/ジョディ・フォスター
©ロードショー1978年/集英社
3、7、11月号の表紙を飾ったリンゼイ・ワグナー(年3回登場は「ロードショー」初)も、初登場のリン・フレデリック(12月号)も同じ髪型である。70年代を象徴するレトロなヘアスタイルも、Z世代にはおしゃれに映るようだ。「ファラ・カット」の名で、今またブームになっているという。
アメリカ公開から1年たった1978年6月、ついに日本で封切られたこともあって、『スター・ウォーズ』(1977)ブームが巻き起こる。「『スター・ウォーズ』VS『未知との遭遇』」(4月号)「『スター・ウォーズ』オリジナル・イラスト独占公開」(6月号)「『スター・ウォーズ』名鑑」(7月号)「別冊『スター・ウォーズ』のすべて」(8月号、「STAR WARS総決算!!」(9月号)「MORE!『スター・ウォーズ』」(10月号)など。そして、10月号では、レイア姫役のキャリー・フィッシャーが表紙を飾っている。
ドラマに反映された、時代の女性像
だが、1978年の表紙に見て取れる最大の特徴は、実はTVドラマの主演女優の比重の重さだ。前年の1977年に『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』と『地上最強の美女バイオミック・ジェミー』が日本テレビで放送を開始。それと連動するかたちで、ロードショーでも特集を展開している。
『チャーリーズ・エンジェル』総力特集(3月号)『チャーリーズ・エンジェル』22話全紹介(4月号)「帰って来た『バイオミック・ジェミー』」『チャーリーズ・エンジェル』総集編(6月号)「TVシリーズ 花のヒロイン大集合!」(7月号)「40テレビシリーズカラー名鑑」(8月号)「日本で会ったL・ワグナー」(10月号)「リンゼイ・ワグナー 魅惑のポートライフ」(11月号)「付録ポスター 新チャーリーズエンジェル」(12月号)と、映画誌としては異例の割合だ。

7月号/リンゼイ・ワグナー 8月号/キャサリン・ロス 9月号/テイタム・オニール 10月号/キャリー・フィッシャー※初登場 11月号/リンゼイ・ワグナー 12月号/リン・フレデリック※初登場『さすらいの航海』(1976)で話題になったイギリス女優
©ロードショー1978年/集英社
アメリカのTVドラマは早くから日本でも放送され、50~60年代には、西部劇『ローハイド』、医療ドラマ『ベン・ケーシー』、アクション『スパイ大作戦』などが人気を呼んだ。しかし女性が主役のドラマといえば、『アイ・ラブ・ルーシー』『奥さまは魔女』などかわいい主婦のシットコムばかりだったのだ。それが70年代のウーマン・リブの波を受け、映画やドラマの世界でも自己主張する女性像が求められるようになってきたのだろう。華やかなファラ・カットをなびかせて、にっこり笑いながら悪を倒していくヒロインたち。二大ヒット作のうたい文句がそろって“地上最強の美女”なのも納得だ。
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