『エマニエル夫人』、ブルース・リーの陰に…

社会現象となった『エマニエル夫人』(1974)ブームは終わらない。前作からちょうど1年後の1975年12月に『続エマニエル夫人』(1975)が公開されたことを受けて、「ロードショー」は「『続エマニエル夫人』徹底特集」(1月号)、「完全保存版『続エマニエル夫人』のすべて!」(2月号)、「『続エマニエル夫人』完全フォト・ストーリー」(3月号)と立て続けに特集を掲載。主演のシルヴィア・クリステルも2度表紙を飾っている。

ブルース・リー人気も健在だ。「『燃えよドラゴン』カラー・リバイバル」(1月号)「独占掲載! リンダ・リー未亡人の手記」(2月号)、「ブルース・リー未発表写真集」(3月号)「ブルース・リー VS キックボクサーの死闘実録」(8月号)、「ブルース・リー追悼大特集」(9月号)「ブルース・リー特集その後の『死亡遊戯』」(10月号)とコンスタントに特集が組まれている。

70年代の「ロードショー」にはアラン・ドロンも欠かせない。「アラン・ドロン豪華カレンダー」(2月号)「コートダジュールのA・ドロン」(6月号)「A・ドロンの原点『太陽がいっぱい』」(8月号)「A・ドロン会見記」(9月号)と、ファンに最新情報を届けつつ、新たなファンの裾野を広げる特集も組んでいる。 

大ヒットでも『ジョーズ』はスルー!? 映画芸能誌へと舵を切る1976年の「ロードショー」_2
ファッションは70年代らしくカラフル。1月号/シルヴィア・クリステル 2月号/ナタリー・ドロン 3月号/キャサリン・ロス 4月号/ジャクリーン・ビセット 5月号/シドニー・ローム 6月号/オリヴィア・ハッセー
©ロードショー1976年/集英社

だが、表紙や特集テーマについては、取り上げられたものより、取り上げられなかったスター、作品に注目したとき、「ロードショー」という雑誌の指向性が見えてくる。
実は、1976年の「ロードショー」がフィーチャーしていない有名映画があるのだ。スティーヴン・スピルバーグ監督の出世作『ジョーズ』(1975)である。