幻のムー大陸の遺跡が日本にある? 沖縄の海底遺跡の秘密

メキシコのオーパーツアルメニアの神話の世界の遺構など、『地球の歩き方ムー』編集プロデューサーおすすめの旅行先ベスト3として世界各地の不思議スポットを紹介してきたが、実は身近な日本にも、1万2000年以上前に海底に沈んだとされる幻のムー大陸の遺構と噂されるものが存在する。

場所は日本最西端の絶海の孤島、与那国島。この島の南方の海岸から150mほど離れた所に、1986年に地元のダイバーによって発見された謎の海底地形がある。水深約20mの海底にある、長さ100m、幅60m、高さ25mほどの一枚岩が中心となり、階段状に削られたとされる部分やモニュメントらしきものなどがそうだ。自然にできたのか、人工物かで意見は分かれ、現在は「与那国島海底地形」と呼ばれており、公式には「遺跡」とは認められていない。

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日本最西端に位置する与那国島

世界各地の遺跡の謎にせまり、全世界で700万部を超えるベストセラー書籍となった『神々の指紋』の著者であるグラハム・ハンコック氏も、この地形には注目し、著書のなかで何度も言及していた。私は彼の書籍のファンで与那国島海底遺跡説に非常にロマンを感じていたため、実際に海底地形を見るために2020年夏に与那国島を訪れた。

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島固有種のヨナグニウマ

半潜水船で海底地形を探検!

与那国島海底地形を見学する方法はダイビング、シュノーケリング、そして観光船と3つある。一番近くで見られるのはもちろんダイビングだが、海底地形周辺は波が荒いことも多く、初心者には少しハードルが高い。シュノーケリングも同様で、たとえ水面を泳ぐことができても遺跡が遠いという懸念も。私は初めての見学手段として手軽と思われた「半潜水海底観光船ジャックス・ドルフィン号」に乗ってみることにした。

ただ、船も海況の影響や定員が達しないなどの理由で出航しない日も多く、前日まで乗船は難しいといわれていた。だが、予報が外れ、当日は天気も良く運よく搭乗することができた。海底地形を確実に見るためには旅程には余裕をもったほうがよさそうだ。

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半潜水海底観光船ジャックス・ドルフィン号

遺跡までは船で約18分、オープンエアの船で風通しがよく気持ちいいが、なかなか揺れるので酔い止めはあったほうがいい。遺跡に着くと、船の下にある展望室に移動。海底地形の周囲をぐるりとまわってくれるので、寝そべってガラス窓から不思議な地形を見ながら解説を聞くことができる。

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ジャックス・ドルフィン号の展望室

海底地形には直角に加工されたと思われる階段状の箇所がいくつも見られ、メインテラスやスタジアム、城門などポイントによって様々な名称が付けられている。とりわけ神聖とされるのが「排所」と呼ばれる場所。また、カメのモニュメントといわれる不思議な構造物などもある。そして、なかには遠く離れた東北の青森県にある縄文時代の「三内丸山遺跡」と似た構造のものがあるという解説も。

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階段状の海底地形

半潜水船から眺めていると、時折海面が見え、遺跡はそれほど深い海底にあるのではなく、意外と浅い場所にあるのだなという印象だった。また、想像よりも人工的に造られたと思われる箇所が多く、これが自然にできたのであれば逆に凄いし、人工物であれば何に使われたのだろう?と想像が次々と膨らんだ。本当にミステリアスな場所だ。

ちなみに、ジャック・ドルフィン号のオーナーはこの海底地形を発見したダイバーの新嵩喜八郎(あらたけきはちろう)氏。オーナーは、前述の『神々の指紋』の著者グラハム・ハンコック氏と交流もあり、取材協力なども行っていたそうで、船内にはオーナーとハンコック氏の写真なども飾られていた。

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「排所」と呼ばれる神聖なスポット