――そもそも、ソロアーティストとしての活動をしながらもボーイズグループとしてデビューするためのオーディション「THE FIRST」に、応募したのはどうしてだったんですか?
音楽に興味を持つきっかけが、小学生の時にテレビに出ている「歌って踊るアイドル」に憧れたことだったんです。そこからダンスと歌をやるようになって、アーティストとして活動をする中である程度自信も生まれてきて、どこかでダンス&ボーカルっていうものに挑戦したいと思いました。
「THE FIRST」からソロデビューしたAile The Shotaって何者?
BE:FIRSTを生み出したことで知られるSKY-HI主催のオーディション「THE FIRST」の参加者であり、今年1月にソロアーティストとしてデビュー。キャッチーなメロディと透明感溢れる涼し気な歌声を武器に、しなやかで軽やかな存在感を放つAile The Shotaに、アーティストとしてのヴィジョン、「THE FIRST」での学び、所属事務所「BMSG」への想いを訊いた。
初めて「音楽で生きていけるかもしれない」と思えた日

そこでSKY-HIが手掛けるボーイズグループのメンバーを選ぶためのオーディションがあると知って。その概要が、“何にも媚びない”とか、ありのままの自分を肯定してくれるような内容だったので、ここで小さい頃に持った夢に挑戦してみたいと思った。そうしたら、オーディションの途中で「このBMSGという事務所は僕が大事にしているものとフィットするかもしれない。もしかしたら、ソロアーティストとして所属させてもらえる可能性もあるのではないか」ってうっすら思い始めたんです。
だから、グループのメンバーに選ばれなかった後に、SKY-HIさんからその可能性を言ってもらえた時は「まさか!」と思うと同時に、これまでで初めて「音楽で生きていけるかもしれない」という感覚を覚えて、安心感と嬉しさがこみあげてきました。
学校ではなかなか出会えなかった同じ志を持つ仲間
──SKY-HIさんからは、ソロアーティストとしての道だけでなく、一緒に曲を作ることやいくつもの道が提示されていましたね。
オーディションが終わった直後にミーティングをさせてもらって、そこでも「どうしたい?」って熱心に聞いてくださいました。高校に行って、大学に行って、っていう生活の中で、音楽で生きていくっていうことに対して同じモチベーションを持った人に出会う機会がなかなかなくて。
それで、僕が「THE FIRST」に応募した目的のひとつに「同じ志を持つ仲間に出会いたい」っていうのがあったんですが、オーディションでBE:FIRSTの7人に出会えて、例えばダンスや音楽の趣味が近いSOTAがいたりして、その夢はその時点で叶ったんですよね。審査の中で、SUNNY BOYさんが作った曲を歌い、s**t kingzさんの付けた振りを踊るっていうすごい経験もさせてもらって、そのうえであの7人がグループになったのを見た時にやりきった感覚がありました。
それに、「THE FIRST」によって自分で音楽を作って届けることに一番の幸せを感じると気付かせてもらった。なので、完全に切り替えてソロアーティストとしてやっていこうと思ったので、SKY-HIさんには「ソロでやりたいです」と言わせてもらいました。
その直後にBE:FIRSTの「First Step」をNovel CoreとSKY-HIさんとm-floの☆Taku Takahashiさんと作らせてもらったり、いろんなチャレンジをさせてもらえる最高の環境はBMSGならではという感じがしています。
──「THE FIRST」の前にやっていたソロの表現とAile The Shotaとは何か明確な違いがあるのでしょうか?
曲を作る時のクリエイティブへの向き合い方は変わってないですね。自分が聴きたい曲、踊りたい曲を作るためにその時の心情を書いていく。ゆったり気持ちよく乗れて、且つキャッチーっていう。
大きな違いとしては、「THE FIRST」によって「何のために技術があるのか?」っていうことと向き合うようになりました。歌に対するクオリティの求め方が大きく変わり、底上げしてもらった感じがしています。
迷った時に帰る場所みたいな曲ができた
──1月にリリースした1st EP『AINNOCENCE』と7月リリースの2nd EP『IMA』と、どんどん音楽性の引き出しが広がっていますよね。
『AINNOCENCE』の3曲では、Aile The Shotaとしてのポップスの形を3つ作ってみて、『IMA』ではまた違うことをやってみました。今全部で7曲あって、改めて聴きかえすと、特有のメロディーラインや声質の感じがAile The Shotaっていうアーティスト性を保ってくれてるなと。
何をやってもAile The Shotaになるっていう自信が生まれましたね。一緒に音楽をしたい方もたくさんいるので、今後もジャンルにこだわらずに、Aile The Shotaっていう存在自体をジャンルにしていきたいと思っています。

──『IMA』だと、特にリード曲の「IMA」はダブステップとEDMが混ざったような感じがとても新鮮でした。
この曲はまず、洋楽っぽい重厚なキックがあって疾走感もあって宇宙っぽい煌きがあって、っていう風にプロデューサーのKNOTTさんにトラックのオーダーさせてもらって。それで、トラックをもらってからJポップさを足しつつ歌詞を考えたんですけど、デビューから半年も経っていない中で感じることがすごくあったので、それを全部吐き出してみました。
──「誰かの腹を満たす 正しさは求めてない どこにいたってmy way」とか「前例がないから何 別に誰に代わるわけじゃないし」と、自分は自分のまま突き進んでいこうという意志が言葉になっていますよね。
周りに鮮やかなものがたくさん見えるスピード感で過ごしている中で、求められているものに寄っていってしまうんじゃないかって感じることがあって、音楽をやる意味について考えさせられたんです。
それで、「やりたいことを突き詰めたい」っていう気持ちを持って直感的に書いていきました。僕はめちゃくちゃ心変わりが早いタイプなんですが、それでも芯は絶対に変わりたくなくて。今後迷った時に帰る場所みたいな曲ができたと思います。
「日常に寄り添うBGMとして聴いてもらえたら幸せ」
──先ほど、「THE FIRST」の期間中に「BMSGだったら自分が大事にしているものとフィットするんじゃないか」と思ったと言ってましたが、それについて今はどう考えていますか?
自由な事務所の中でもわがままにやらせてもらっていて(笑)、それを許容してもらえるボス(SKY-HI)の懐の深さを感じてます。SKY-HIさんが完成した曲を聴いて喜んでくれるのが一番嬉しいんですよね。社長と所属アーティストっていう関係値のはずなのに、対等に仲間として向き合ってくれるところに支えられている。
実は「IMA」を書いた直後に苦しさを感じる時期が少しだけあったんですけど、その時も音楽ファーストで周りの仲間が「良い」って言ってくれるものを作ることに全集中すればいいっていうところに立ち返らせてくれました。
──BMSGの中でShotaさんは兄貴的な存在となっているイメージがあります。
(笑)。兄弟みたいな関係性は本当に変わらないですね。15歳のRUIとかTAIKIとかすぐLINEして来ます。「裏声がうまく出せません」とか。「変声期だからね」って思いながら返信してます(笑)。
みんなかわいい弟だけど心からリスペクトしているアーティストだし、スタンスがそれぞれ違うのも面白い。同じソロアーティストのNovel Coreとはよく心持ちの話をしますね。僕は気分屋だけど、Coreはビジョンが明確なタイプで対照的なんです。でも、親友として一緒に曲を作ると良い曲ができる。リスペクトが止まらない存在ですね。
──Coreさんは強い言葉を発して牽引していくところがありますが、Shotaさんは軽やかな佇まいで頼りにされているような感じですよね。
確かに気楽にいる雰囲気をみんなが頼ってくれてるのかもしれないです(笑)。僕が音楽でやりたいこともそういうものなんですよね。日常に寄り添うBGMとして聴いてもらえたら幸せだなと。例えば、ベランダで落ち着きたい時や寝る前に聴きたい曲の中に僕の曲が入ってたら嬉しい。いるだけで安心してもらえる存在になれればいいなと思いますね。
取材・文/小松香里 撮影/岩澤高雄(The VOICE MANAGEMENT)
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