TBS『JUNK』名物プロデューサーが「番組づくり」の極意を学んだ芸人とは? 寝ている妻への検証企画や超ヘビーリスナー「定吉さん」いじりも

「間違ってもいいんだよって言った覚えがある」(加藤)

山本圭壱に「おい、ブタ!」 リスナーとの新たな関係性を築いた極楽とんぼ“伝説ラジオの番組”の革新性_1
TBSラジオ『JUNK』の宮嵜統括プロデューサー(左)と極楽とんぼのふたり(右)
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極楽とんぼのラジオは、今思えば革新的だった。リスナーとの新しい関係性を築いた。パーソナリティをいじるノリができた。パーソナリティに金品をたかるノリもできた。極楽とんぼのお2人は、真剣に物事に取り組むことやゲストとのヒリヒリする時間をエンターテインメントに変えた。この「吠え魂」には、けんか芸と呼ばれる極楽とんぼの真骨頂が詰まっていた。

宮嵜 僕がディレクターとして初めて担当した生放送の深夜番組が『極楽とんぼの吠え魂』なんです。
加藤 あれ、初めてか? そんな感じしなかったけどな。
宮嵜 26歳の時です。最初に『吠え魂』で学んだのはCMのことなんです。『JUNK』は1時台に5回CMを入れなきゃいけないというルールがあるんですが、僕は初めてだったので、まったくわからなくて。おふたりにトークバックで「CMに行ってください」って言っても、一向にCMに行ってくれなかったんです。もうこれ以上続けたらパンクするというところで、僕が話の途中で強引にジングルを打って、CMに行ってしまったと。そのとき、加藤さんは色つきのメガネをされていたんですが、CM中にずっと僕のほうを見ていて。
山本 にらんでたんだ。プレッシャーをかけてたんだね。
宮嵜 放送が終わったあと、「ホントにすみません」って謝って、事情を説明したら、加藤さんが「いや、そんなもんはお前がおもしろいと思ったところでぶった切ってもらっていいんだよ」って言ってくださったんです。
加藤 俺、覚えてるよ。はっきり覚えてる。
宮嵜 「それで、リスナーはCMが明けてもまた聴こうっていう気持ちになってくれるんだから、お前がおもしろいと思ったところで行けよ」って言ってくださって。
加藤 いいこと言うねえ(笑)。
宮嵜 それが今でも糧になっているんです。僕はディレクターであると同時に、最初のリスナーでもあるので、「あっ、おもしろい」と思ったところでCMに行ければ、結果リスナーも笑顔のままCMに行き、その続きをさらに聴きたくなるはずだと思って他の番組もやってきました。
加藤 「間違ってもいいんだよ」って言った覚えがある。間違ったとしても、残り何秒かで俺たちが「なんでCMに行くんだよ!」って言うからって。そうしたらCMが明けたあとにまた話ができるでしょって言った覚えがあるんだよね。
宮嵜 僕の中でホントに衝撃でした。実はそういう文化って、深夜に限らずTBSラジオにはあんまりなかったんです。パーソナリティからディレクターに逆キューをすることはあっても。