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「噺の稽古をつけてほしいと言われるのは、あなたの人間性が好きです、人間をくださいと言われてるようなものなんです」「すごい名言いただきました…」月亭方正×漫画『あかね噺』作者特別鼎談_1
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「朱音に嫉妬するほどハマりました」

――まずは連載1周年を迎えた感想をお聞かせください。

末永裕樹(以下、末永) ジャンプで1年続けられた事が、とにかく嬉しいです。その反面、まだ1年ですから、これからより気を引き締めないといけないなという気持ちもあります。

馬上鷹将(以下、馬上) 毎週ドキドキしながら描いてもう1年か…と感じます。ジャンプには10年以上も連載されてる先輩方がいるので、僕もまだまだ続けていくのが目標ですね。

――方正さんは『あかね噺』を読んで、いかがでしたか?

月亭方正(以下、方正) ほんまに面白い! 落語の漫画だと聞いて、最初はあえて読まずにいたんです。「実際の落語ってこんなんちゃうけどな~」って感じてしまいそうだから。

だけどいざ読んでみたら、読んでる間ずっと涙が止まらなかったんです。僕も普通の噺家さんとは違う形で落語の世界に入ったから、つらい事もいっぱいあったし、その思いが蘇ってきたりもして、すごく共感できましたね。

末永 ありがとうございます…!

『あかね噺』が生まれた理由(わけ)

方正 なんで落語の漫画を描こうと思ったんですか?

末永 実は、最初は落語モノをやりたかったわけではなくて。朱音というキャラがまず出来て、この子に何をさせようかと色々考えていく中で、結果的に落語になったんです。

元々私は漫才やコントなどお笑いが大好きで、落語にも興味はありましたが、敷居が高そうで手を出せずにいました。同時に、こういう人は他にも結構いそうだなとも思って。そこから、みんなが気にはなるけど手を出せない落語という題材に魅力を感じたのが一つ。

もう一つは、朱音という子が一番やらなさそうな事をやらせてみたら面白いんじゃないかと思ったんです。その二つを組み合わせて『あかね噺』が生まれました。

方正 じゃあ落語を聞いたのは、その時が初めてですか?

末永 はい。ちゃんと聞きだして、まだ1年ちょっとですね。

方正 そうなんや! ずっと昔からの落語ファンかと思ってました。でもある種、それで客観視ができてるのかもしれないですね。

末永 そう思います。例えばサッカー漫画ならパスやドリブルの説明をしなくても皆わかるけど、落語だと上手と下手で役を演じ分けることから説明しないと、知らない人が大半ですよね。

その点、私自身が素人だから、読者がどこに躓きやすいかわかるし、そこをどう描けばいいのか考えやすいメリットはあります。

――作画面ではどうですか?

馬上 最初にお話を頂いた時、すごく面白いけど、ジャンプ読者が落語に興味を持つかなあ…という不安はやっぱりありました。じゃあそれが僕の仕事だな。この面白い話をよりポップに派手に描こう。キャラにも感情移入しやすくして、落語を知らない人でも読みたくなるように間口を広く描こうと意識しました。

方正 めっちゃ成功してますよね。とにかく朱音ちゃんが溌剌としてるのがいいんです。若くて才能もあって、読みながら朱音ちゃんに嫉妬したり、ライバル心が湧くようなところもありますね。そのくらいハマってしまったので、『あかね噺』もぜひ10年以上続けてほしいです。

馬上 光栄です…がんばります!