日本中から嫌われている“炎上芸人”・クロちゃんの評価が見直されている。
『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)の企画で10年ぶりの彼女ができ、「実は高スペックなのでは?」と世間の評価が一変しているのだとか。どれだけバッシングされても、絶対に病まない理由を聞いてみた。

“人のせい”にして自分を守り成長させる

――本の反響はいかがですか?

「買ってよかった」みたいな好意的なコメントがあるんですが、「鍋敷きにします」とか「在庫を店員さんに聞くのが恥ずかしい」「嘘つくやつの本なんかいらねえ」とかいろいろ来てます。もう賛否両論ですね。

――なるほど(笑)。『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由』というタイトルも面白いですよね。

もともとタイトルは、「僕が、絶対に病まない理由」だけ聞いてたんです。それがいつの間にか、“日本中から嫌われている”ってワードが勝手に入れられて…。腹立ったんですけど、周りの人たちが「すごいキャッチーでいいじゃん」となって反論できず…。本当にやられたと思いましたよ。

――著書では、クロちゃんのメンタル術を解説されています。なかでも「人のせいにする」(=他罰的思考法)という考え方がキーポイントになっています。詳しく教えてもらえますか?

「人のせいにする」というのは、一般的にダメなことだと教えられますよね。でもね、僕はまったく逆だと思うんですよ。他人のせいにすれば、自分を守れるし、メンタル的にもメリットがある。僕は小学生のころに、この思考法を編み出しました。

小学校の先生に「何で勉強がわからないんだ」と怒られたことがあったんです。普通なら自分を責めるでしょう。でも、僕は「わかるように教えてくれない先生のスキルが低い。頭が良くないのは先生のほうだ」と考えるようにしました。これで、怒られたことに対して、あまりダメージを感じなくなったんです。

そこまでできたら、次のステップ。「先生の教え方が下手だから、俺は自分で予習していってやろう」と、上から目線で考えた。そうするとポジティブになれたんです。

逆に、怒られてただ反省して「頑張るぞ」と思うには、マイナスからプラスに変換する必要があります。これだと精神力をフルに使うことになる。最初に「人のせいにする」ことによって、少し頑張るだけで自分も成長できるんです。

――自分を守り成長させていく考え方なんですね。クロちゃんは、失恋やどんなに辛いことがあってもヘコたれていないように見えます。それはなぜですか?

勘違いされがちなのですが、僕はもともとメンタルが弱い。ただ、一度も鬱になったことがない。それは、どんな辛い状況になっても、その状況を逆から考えて、前向きにとらえるからだと思います。

リチ(『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)内の企画「モンスターラブ」で、お付き合いすることになった彼女)との交際でも、その逆転の思考法は活きていて、交際直後、ネタバレを防ぐためにも、最終回のオンエア後までは、絶対に会わないと決めていました。

リチにも「バレないように、LINEだけで連絡を取り合おう」と伝えていたんです。付き合いたてで家も近いのに、会うことができないという辛い状況なわけです。

そんな状況でも、僕は「これは新しい令和の“ロミオとジュリエット”なんだ」と、逆に考えて楽しんでいました。「愛してる」とかいろんなことを言葉で紡ぎながら、会えなくてもどかしいと思う気持ちによって、どんどんリチのことを好きになっていきました。

――幸せいっぱいですね。クロちゃんは本の中で「絶対、努力はしない」とも語っていました。ただ、一般の人は、どうしても嫌な仕事を努力しないといけない場合があるのも事実。そんな時はどのようにメンタルをコントロールすればいいですか?


まず、その嫌な仕事をするのが「損か得か」を考えてから行動した方がいいですね。嫌な仕事を頑張った後に、プラスの何かが残るならやればいいと思います。逆に、違うことをやった方が得だと思ったら、そっちに移ってしまっていいんじゃないですか?

たとえば、僕は元々アイドル志望だったんですが、芸人になりました。でも、自分から芸人を辞めるというのは、損だと考えていたんです。だって、芸人を辞めたら次にやることは絶対に成功しないといけなくなる。ハードルが上がったタイミングで僕は戦いたくなかった。だから、団長とHIROくんが「辞める」と言い出すように嫌がらせしていました(笑)。

その当時は仕事も少なくてお金がなかった。HIROくんはパン1斤を食べてから水1.5L一気飲みして、お腹の中で膨らまして空腹をしのぐぐらいです。そんな時に、僕は親の仕送りでお菓子をたくさん買って、団長とHIROくんには一切あげず、自分1人だけでお菓子パーティーをしてました。2人には「これは親が汗水たらして働いたお金だからお菓子をあげることはできません」と言って。

そうやってイライラさせたり、惨めな思いをさせることで2人から「辞めます」と言わせようとしていましたね。それも、自分が損をしないためです。団長やHIRO君が「辞める」といえば、僕は晴れてアイドルの道に進むことができる。なおかつ、周りからのサポートも期待できる。

こんな感じで、環境や周囲の人をうまく操って、自分が損をしないように立ち回ることが大事かなと。