長距離飛行ができる「ドローン天国」

――約200haのドローンフィールドというのは国内最大なんですか?

稲田悠樹(以下、同) 僕の知る限りでは最大だと思います。直線距離なら他に大きなところがあるのかもしれませんが、あっても海の上とかですよね。陸地で、かつ平地というのがこれまでなかったと思います。

改正航空法へ国内最大級の「ドローン天国」が熊本に誕生。200haの土地を調達したのは地元思いの青年だった_1
放牧地を活用して開設したドローンフィールド「阿蘇ドローン手形BIZ」
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――どういったニーズを想定しているんですか?

改正航空法で可能になる見込みなのが、ドローンの長距離飛行です。その実証実験の場としての需要ですね。個人使用は想定していません。実際、改正後の利用のご相談は多数いただいています。

「フィールドを探そうとすると森か水上しか選択肢がない」とよくいわれます。確かに森や水上なら人がいないのでリスクが低いのですが、ドローンが墜落したら回収困難だし、緊急着陸も難しくて、実験環境としては厳しいですよね。

さらに地上だと地権者ごとに許可を取ったり、行政が関われば手続きが大変……と煩雑にもなってきます。

ここはそのあたりの問題を全てクリアした、いわば「ドローン天国」なんです。競合もほぼ生まれないのではと考えています。

このフィールドには電源があって充電でき、トイレもある。さらに今後ドローンに搭載されることが増えていく携帯キャリアのネットワークがつながる、というのも重要なポイントですね。

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ドローンに関わる事業者らが集まって行われた講習会
改正航空法へ国内最大級の「ドローン天国」が熊本に誕生。200haの土地を調達したのは地元思いの青年だった_3

――航空法の改正によって新たな実験が必要になるほど変わるということですか?

法改正で「レベル4飛行」(住宅地など有人地帯で操縦者が機体を目視せずに上空を飛行できる)が解禁され、長距離も飛ばせるようになるので、「ドローン2.0」といえるくらい日本でのドローンの使い方は大きく変わってくるのではないかと考えています。

今までは、「ドローン=カメラ」という感じで、撮影や測量、点検などのカメラの用途がメインでしたが、今後は、何かを載せて飛ぶというニーズが増えるはずです。

技術的にはもうできるし、やっている国もありますが、日本国内では本番前にテストできる環境が少なく、リスクを軽減しにくい状況です。

なので、業界活性化のためにも、安全な技術テストの場を提供したいと考えました。

改正航空法へ国内最大級の「ドローン天国」が熊本に誕生。200haの土地を調達したのは地元思いの青年だった_4
熊本市出身の稲田悠樹さんは、地元を中心にドローン事業を展開