無意識の偏見はアンケートでわかる?

アンコンシャスバイアス――無意識の偏見は「思いやり」がないから生じるのか?_1
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「アンコンシャスバイアス」という言葉が最近いろいろなところで聞かれます。企業や経済団体なども、このテーマについて盛んに取り上げています。

「アンコンシャスバイアス」は平易に言えば「無意識の偏見」です。無意識の偏見をなんとかしようという問題意識があるのであれば、「思いやり『だけ』では解決しない」ことが認識されているはず、と思っていたのですが、そうでもないようです。

私の友人が「これって本当にアンコンシャスバイアスの調査だと思う?」と言って見せてくれた、あるアンケート調査では、「女性に力仕事はかわいそう」「育児や介護をしながら働くのは難しい」「LGBTは普通の職場にはいない」といった設問がずらっと並び、これらにチェックを付けていくことで自身のアンコンシャスバイアスを測る、という内容になっていました。

アンコンシャスバイアスというのは、まさに無意識の偏見ですから、「女性に力仕事はかわいそう」とか、「育児や介護をしながら働くのは難しい」など、カテゴリーで一般化して人を排除する方向に働く言説について尋ね、その内容について認知して回答したとしても、それはアンコンシャスバイアスとは言えないはずです。

アンコンシャスバイアスと聞いて思い浮かぶのは、採用面接をしていて自分が「男性」ばかりに高い点を付けていた、とか、業績評価をする際に、客観的には同じ仕事ぶりであるにもかかわらず、「男性」は評価がA、「女性」はCになっていた、というような事例ではないでしょうか。

後者の評価の理由を聞くと、なぜか「女性」にだけ「協調性がない」「わがまま」など、特に根拠もない理由が返ってくることも往々にしてあるようです。こうした傾向は、過去の女性差別の裁判事例などにも表れているかと思います。

つまり、アンケート調査の例は、「アンコンシャス」ではなく「コンシャス」な偏見を測るものだと思うのです。しかし、意外とこのような誤った認識、あるいは認識の不思議な接合は、あちらこちらで見られるようです。