素潜りすることで海洋動物の一員として居られる

―素潜りされるきっかけはどんなことだったのですか?

もともとスキューバーダイビングをしていたんです。
スキューバーダイビングはタンクを背負っているので、息を吸うと「スースー」と音がしますし、息を吐く時は「ブクブクブク」と大きな音が出ます。
海の生き物たちを長く観察にするためにはスキューバーダイビングはいいのですが、これだと彼らの中には入っていくことはできません。彼ら普段の生活には「ブクブクブク」音はないので、みんな遠くに行ってしまいます。
いつまでたっても異星人として水の中にいるという違和感がありました。

そんな時に友人に誘われて、素潜りを体験することに。
自分の肺が全てなので、クジラや海洋哺乳類と同じように息が続かなくなったら海面に上がり呼吸する。
彼らと同じ状態になることで、彼らと一員になれる……これだ!と実感しました。

―ギネス記録に挑戦することにした理由はどんなことですか?

素潜りしていく中で、私たちはこの地球の一員であって、所有者ではないということ。共に生きる一員として何ができるのか、水の中から伝えていきたいと思いました。
その時は、名も無きただの素潜り者で、何をしても何か伝えたいと思っても私のただの自己満足に過ぎません。
こうやって皆さんにお伝えするためにもギネス記録に挑戦しました。

記録は更新されていくものですが、世界初は誰かが取ってしまえばその人のものになります。
だからこそ世界初・女性初にこだわり、2011年に「洞窟で一番長い距離を一息で行く」でフィン有り 100mは世界女性初の記録、フィンなし 90mは世界初の記録を取りました。

「自分の内なる海を大切にする」 水族表現家 二木あいさんに聞く 自然と共に生きることとは?_1