算数が苦手な子どもも夢中になる“アレ”がヒント

――ひまつぶしドリルが累計5万部発行され大好評です。大人がやっても解き応えがある楽しい内容ですが、どんなきっかけで生まれたのですか?

最初は街の小さな塾としてスタートしました。入塾する子たちの多くは算数が苦手な子が多かったので、夏休みに入るとまずは宿題の手伝いから始めていたんです。

夏休みの宿題に使われるワークブックには、ウォーミングアップとしてパズルやクロスワードのような問題が収録されているのですが、勉強が苦手な子もそういった問題は夢中になってやるんですよ。そこからヒントを得て、『ヒマつぶしドリル』のような問題ができました。

――算数が苦手な子が興味をもったものがヒントになっていたんですね。

はい。現在は算数オリンピックの実績などを評価いただき、算数が得意な子、好きな子の入塾者が多いですが、同様の課題を楽しそうに解いています。子どもの「もっとやりたい!」という気持ちを引き出す教材になっているのかなと思いますね。

なぜ算数オリンピック金メダリストを輩出できるのか

――元は算数が苦手な子のために考えられたドリルが、今や算数オリンピック入賞者を出す重要な教材になっています。なぜこのような成果が生まれたのでしょうか。

ずばり、子どもの興味をひきつけ、思考力を鍛える要素があるからだと思います。

『ヒマつぶしドリル』の問題は、中学以降の方程式を使うと簡単に解けるものもあります。しかし、子どもはその知識がありませんから、『どうしたら解けるのだろう』と考えを巡らせます。そういった訓練を無意識に、苦に感じない形でできているからではないかと思います。

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『ヒマつぶしドリル』の問題例(学研プラス)

りんご塾では算数オリンピック対策を年中児からスタートしていますが、小学校中学年レベルの『ヒマつぶしドリル』を、低学年くらいの子が解けてしまうこともあります。楽しくゲーム感覚で学びつつ、思考力を鍛えられているからこそだと思います。

――実際の授業ではどのように取り入れられているのですか?

80分の授業のうち、最初の30分間でこのドリルにあるような問題を行います。その後、通常の算数の授業を30分、最後の20分で立体のブロックを使った問題に取り組みます。

――80分のうち、いわゆる普通の授業は30分間なのですか?

はい。最初の30分間は準備運動的に子どもの「思考力」を働かせる問題に取り組み、次にしっかりと数学的な「知識」を入れる。そして最後にブロックを手で動かして「試行錯誤」して終わる。この3ステップを意識した構成になっています。

最後にブロックで遊び感覚で空間認識能力を養う問題に取り組み、「解けて楽しかった」という思いで帰ると、また次の授業も楽しみになるんです。「塾に行かなければいけない」ではなく、「早く塾に行きたい」という思いが生まれるんですね。

算数の能力を伸ばすには、子どもが「もっと算数をやりたい」と思う環境や授業内容にするのがポイントです。

――りんご塾では積極的に飛び級制度も取り入れているそうですが、それも関連しているのでしょうか?

学年の区切りは、学習指導要領で便宜上設けられているものです。もっとできる子にはやらせてよいと思います。できる子が放っておかれてしまった結果、算数の授業をつまらないと感じるのはもったいないですよね。

私たちは、そういった「吹きこぼれ(周りよりもできるあまり、放っておかれる子)」たちが楽しく学べるように、できる子にはどんどん飛び級をさせています。