子どもに渡した「おさがりスマホ」、フィルタリングは大丈夫?

警察庁の発表によると、令和4年におけるSNSに起因する事犯の被害児童数は1732人だった。そのうち中高生は89.5%を占めるが、小学生は114人となっており前年比で37.3%も増加しており、そして、令和4年における児童ポルノ事犯の検挙件数・検挙人員・被害児童数はそれぞれ3,035件、2,053人、1,487人で、いずれも前年より増加しているという。

小中高生のSNS被害が広がっている背景には、親が自分の使っていたスマホをおさがりで子に使わせるのにも問題の一因があるのだと、ITジャーナリストの高橋暁子氏は語る。

「10代ではiPhoneのブランド力がいまだに強いですが、なにぶん高価なため、いきなり最新機種を購入することは難しく、親が機種変更するタイミングで自分が使用していたスマホを子どもに与えるケースが増えています。

18歳未満が利用するスマホを新規契約する場合には、購入時にフィルタリング(現在「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」により、18歳未満の方がスマホや携帯電話の契約・機種変更をする際には、店頭などでフィルタリングの設定が義務化されている)を勧められますが、おさがりのスマホは保護者名義の契約となっているため、初期段階でフィルターをかけていない状態が多いようです」(高橋氏、以下同)

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また、子どものSNSから被害が増えている背景のもうひとつには、親世代がITリテラシー教育を受けてこなかった影響も大きいのだという。

「今の親世代がSNSを使い始めたときにはある程度分別がつく年齢になっていたため、いきなり性被害に発展するというケースは少なかったのです。ですから親がリテラシー教育を受けておらず、自分の子どもにSNSの利用方法についてどういった教育をすればいいのかわからないというのが、子どものSNS被害増加の一因として考えられます。

子どもは一番身近な大人を見て育つので、実際に親がネットを長時間利用していたり、誰でも見られる設定で顔写真を投稿していたりなど、親のITリテラシーが低いと子どももスマホ利用に対しての危機感が薄れてしまいがちです」