福岡名店発マロンパイのベストパートナー「ウララ」
Z 福田さんイチオシのマロンパイは福岡の老舗フランス菓子店から。こちらはダックワーズを作ったシェフのお店なんですよね?
F そうなんです。パリの名店で勤めていらしたオーナーシェフが考案し、世界に旋風を巻き起こされて!
A ダックワーズ大好きです! まさかの背景に驚きました。
F シェフが日本に帰ってきて、80年代の前半くらいに16区の人気は大爆発しました。店名の由来となったパリの16区は洗練されたおしゃれなスノッブな地区で、当時まだそんなことを知らない日本の女子たちにとっては16区のお菓子がパリを夢見るきっかけに。私も初めてパリに行った時は16区巡礼したものです(笑)。ダックワーズは一年中販売しているんだけど、秋の季節限定で出てくるのがこの栗がまるごと一個入ったマロンパイ。
Z サクサクのパイの中にマロンクリームと大きな栗が♡ 栗好きにはたまらないです!
S ペアリングで合わせたのはオレンジワインなんですけど、先ほどのものよりボリュームがあります。マロンパイに砂糖も乳製品もしっかり使われていて、かなり食べ応えがあるので白ワインよりは、ウララのようにマセラシオンをかけている、少し甘みの残ったワインが合うと思います。このピチッとした口に当たる微発泡な感じも、パイ生地と相性がいいですよ。
Z スイーツのボリューム感に合わせてワインを選ぶというのもひとつの基準になるのですね!
S そうですね! 栗粉餅や栗蒸し羊羹のような、乳脂肪分を使っていないようなお菓子なら、マセラシオンをかけてない、果実の甘みがある白ワインともうまくペアリングができると思います。
マロンパイをチェック!
大人のチーズクッキーには赤ワインを果実ソースに見立てて「ル ケ ア レザン 2019」
A 栗スイーツではないですが、私が熱烈リクエストしたスイーツがこちら。福田さんがクリエイティブスタジオの「KIGI」と富山の洋菓子専門工房「ZAXFOX」とタッグを組んだクッキー缶で、メレンゲとペコリーノロマーノを使用したチーズクッキーが焼き加減を変えて2種入ってるんです。すごくお酒呑み好みの味わいなので、鈴木さんにペアリングをぜひ教えてほしいです!
S チーズにベリー系のソースを添えるイメージでワインを飲んでもらえたらいいなと、軽やかな赤ワインを選びました。 これはサンソーという品種で、ワインの世界だとサンソーは補助品種。すみれの花のようなスパイシーさがあって、ちょっと入れるだけでワインが変わるくらい良い役割をしてくれます。ナチュラルワインの作り手は自由な考えの人が多いので、サンソー100%で作ったりもしちゃう。2種のチーズクッキーを受け止められる複雑味があります。
Z 監修されたクッキーとの相性はいかがですか?
F すごくおいしいです!
Z クッキーを作ったときにどんなことを意識したのでしょうか?
F そうですね。今流行っているクッキー缶は、大体5〜8種類の詰め合わせが多いでしょう。私、クッキー缶=アイドル説を唱えているんです(笑)。
Z え! 気になりすぎて、このまま聞き流せません(笑)! その説を教えてください!
F 缶はステージなんですよ。中に詰まっているクッキーがアイドル。現在よく見かける多種類詰め合わせ缶は、グループアイドル。一方でアイドルにはソロアイドルがいて、古くは松田聖子ちゃんとかキョンキョンとか。このクッキーは後者を作ろうというプロジェクトだったんです! 同じ生地の焼き具合を変えて2種類あるのは、アイドルなんだけど女優もやりますっていう意味で(笑)。真ん中のメレンゲはバックダンサーという構成です。
A このチーズクッキーは塩対応アイドルですよ! 媚びない魅力に沼落ちして何度でも握手会、つまりリピ買いしてしまうっ。
チージィーポッシュをチェック!
秋の果物のフロマージュブラン添え【福田里香さんのうち飲みスイーツレシピ】
今回使用したイチジクやシャインマスカットのほか、柿や洋梨など秋の果物をお好みで。フロマージュブランはデザート風ではあるけれど、チーズなのでワインとの相性は言わずもがな。粗糖をふりかけることで食材の味が引き立ち、じゃりっとした食感も楽しい。果実と砂糖の甘みには、爽やかなガズゥイがぴったり!
秋の果物のフロマージュブラン添え
[材料](適量)
秋の果物(今回はイチジクとシャインマスカットを使用) 適量
くし形に切ったレモン 1切れ分
市販のフロマージュブラン 適量
粗糖 適量
[作り方]
❶イチジクとシャインマスカットを食べやすい大きさに切る。
❷果物を皿に盛り付け、レモンを絞りかける。
❸❷にフロマージュブランを添え、上から粗糖を振る。
〜今回の「ベストうち飲み賞」を発表します!〜
F 私たちが選んだからね、大賞は2人に決めてもらいましょうよ!
A え〜!めちゃめちゃプレッシャーです!!
Z 決めました! 栗粉のカヌレ×ガズゥイでお願いします。お互いの良さを引き立て合っていて抜群の組み合わせでした!
S それは嬉しい〜!
A 私は、栗粉餅とキュヴェ ヌメロ ソワサント ユイット2018で! アレクサンドル・バンさん、私も推しにさせてもらいたいです!
Z 栗というひとつの素材に限定しながらも多種多様。ナチュラルワインも見事でスイーツのコース料理をいただいたよう。季節限定のお菓子も多いので、皆さんぜひワインとペアリングしながらお楽しみください♡
photography:Yu Inohara text:Momoko Yokomizo
ワインのお問い合わせ先:
ブルブル
https://bulbul.co.jp/wine-shop/
ヴィナイオータ
http://vinaiota.com/
【うち飲み向上委員会メンバー】
福田里香
菓子研究家。雑誌や書籍で活躍するかたわら、食品関連の商品開発も手掛ける。著書に『季節の果物でジャムを炊く』『民芸お菓子』、共著に『R先生のおやつ』がある。家飲みは頭が痛くならない自然派ワインで。アテはチョコやチーズケーキなどで結局甘党です。
Instagram:riccafukuda
鈴木純子
ワインショップ「bulbul」店主/アタッシェ・ドゥ・プレス。食やライフスタイルの分野でPR・ブランディングを担う一方で、自然派ワインに魅せられ、フランスを中心に造り手を訪問することをライフワークに。和食に、だし感のあるワインを合わせるのがマイブーム。
Instagram:bulbul_du_vin
ライターYOKOMIZO
おいしいお酒とごはんのためなら、高い海外輸送費も厭わず即ポチ。苦手な家事は休日に大好物の泡を飲みながらやっつけます。最近は海外の料理番組を観て、妄想トラベル。
エディターAKIYAMA
お酒はもっぱら外でハシゴ酒だったのが、ここ1年でうち飲みの魅力に開眼! おいしいお酒を飲みながら、ほろ酔い気分で愛猫と遊ぶのが至福の時間。