見なくていい、地図だけ入れておく。「楽しみを奪わない」アプリの使い方

スマホが壊れるかもしれない。バッテリーが切れるかもしれない。ネタバレも嫌だ。自分の感覚で自由に山を歩きたい。そんな人のために、アプリとのつきあい方を3つ提案したい。

●最小限の情報だけをチェックする 最新の山行記録を見たくないなら、自治体や警察、山小屋が発信している情報だけを確認すればよい。記録を見る場合も、核心部の詳細は飛ばして「行けるかどうか」だけを確認する使い方でいい。信頼できる情報源を絞っておくか、逆に多くの記録を俯瞰してひとつに縛られない視点を持つか、どちらも有効だ。

●現在地確認だけに使う 現在地がわからなくなったときだけアプリを開く。そのために「地図だけダウンロードしておく」という方法がある。ヤマレコでは「探す」タブの「地図」から指定範囲だけダウンロードできる。「登山開始」ボタンを押したら、あとは登山中に見なくていい。困ったときだけ確認すれば十分だ。位置情報はバックグラウンドで継続してサーバーに送られるので、安全装置としての機能は常に働いている。

●予備を持つ ヘッドランプを2個持っていくのと同じように、モバイルバッテリーをひとつ携行する。古いスマホをサブ機として持っていくのも手だ。それだけで、デジタル機器にあるリスクのほとんどは解消できる。

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自由には責任がつく。安易に「自己責任」という言葉に逃げない

情報を見ない自由も、ルートを決めない自由も、案内をオフにする自由も、全部ある。アプリは強制ではない。

ただし、自由には責任がセットでついてくる。山の中で動けなくなったとき、仮に本人が「助けを呼ばなくていい」と思っても、家族や友人は必ず通報する。救助が入れば、そのコストのほとんどは現場の自治体が負担することになる。

アプリを使うかどうかは、あくまで個人の選択による。でも、使わないことでどんなリスクが生じるかを知ったうえで、何らかの代替策を用意する責任は、登山者みんなにある。方法はアプリでなくてもいい。大切なのは、その責任を自分のものとして引き受けること、そして安易に「自己責任で行く」という言葉に逃げないことだと思う。

文/的場一峰  写真/shutterstock

ヤマレコ社長は伝えたい アプリ時代の「絶対遭難しない」山の知識
的場 一峰
ヤマレコ社長は伝えたい アプリ時代の「絶対遭難しない」山の知識
2026/9/17
1980 円(税込)
224ページ
ISBN: 978-4635150415
登山アプリ「ヤマレコ」の社長が、はじめて書いた山と命の話。
道迷いを防ぐアプリの使い方から、山選び、装備、遭難を招く心理まで。
自らの遭難体験をもつ開発者だから語れる、アプリ時代の安全登山の教科書


人気登山アプリ「ヤマレコ」の開発者で社長でもある的場一峰氏による、初の著書。人気YouTube番組をもとに、「絶対遭難しない」ための 知識を一冊に再構成。

最新の登山アプリ活用術、アプリの地図の読み方、道迷いの注意箇所、登山に最適なデジタル装備の選び方、遭難しないための具体的な注意点 など、アプリ開発者ならではの視点と、ヤマレコユーザーと20年にわたって接してきた経験から、現代の登山の安全知識を幅広くカバー。

2022年に自身も遭難を経験した著者だからこそ語れる、リアルな失敗談と教訓も収録し、「アプリ時代」の安全登山を開発者自身が詳しく解 説します。
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