「アイゼンを使うと山が楽しくなくなる」と同じ構造の話
・冒険の余地が奪われる ・人間の能力が奪われる ・デジタル機器は信頼できない ・情報の質が悪い
「アプリを使わない」派の気持ちを突き詰めると、だいたいこの4つに行き着く。
このような声を聞くたびに「もったいない」と感じる。使わない理由の多くが、アプリへの誤解や古いイメージに基づいているからだ。
「冬山でアイゼンを使うと山が楽しくなくなる」「ノーアイゼンで登る技術が奪われる」。そういう意見と、構造としては同じことを言っていると感じてしまう。道具はうまく使えばいい。それだけの話だと思う。
使わないことで起きる3つのリスク。怖いのは「現在地のロスト」
開発者としての立場から、使わないことで起きうるリスクを3つ示しておこう。
●現在位置がわからなくなる 読図ができる人でも、いったん現在地をロストすると正しい道に復帰するのはとても難しい。地図も方位もわかる。でも「いま自分はどこにいるのか」、その確証が持てない。悪天候が重なれば、道迷い遭難のリスクは一気に跳ね上がる。
●位置情報を残せない ヤマレコのアプリを使って歩くと、現在位置が5分ごとにサーバーへ送られる。万が一遭難して連絡が取れなくなっても、救助隊や家族がその軌跡をたどることができる。現場で適宜、ルートを変えながら歩くタイプの登山者ほど、この機能が命綱になる可能性がある。
●避けられるはずのリスクを避けられない 最新の山行記録を見ていれば、登山道の崩落や通行止め、水場の枯渇といった情報を事前につかめる。「ネタバレ」と言えばそれまでだが、知っていれば対策できたことを、知らないまま山に入るのはどうだろう。
調べきれなかったなら仕方がない。でも「最初から調べるつもりがない」のは話が違う。複数の記録を参照して情報を取捨選択する力は、むしろ上級者に求められるスキルだと思う。













