国会だからこそ見られている
つまり、「自分は冗談のつもりだった」「親しい相手だから大丈夫だと思った」という行為者側の感覚だけではなく、相手がどう受け取るかを考えなければならない、ということだ。
これは男女を逆にしても同じだろう。
男性が女性に触れる場合だけの問題ではない。女性が男性にする場合でも、同性同士でも、相手の体に不用意に触れることは、現代の職場では避けたほうが無難だ。
そして今回、もう一つ考えなければならないのが、場所が「国会」だったということだ。
国会議員同士も、一人の人間として雑談をするし、気心の知れた議員同士で冗談を交わすこともあるだろう。国会議員だから四六時中、硬い表情でいなければならないわけではない。
むしろ、議員同士の人間関係が良好であること自体は決して悪いことではない。
ただ、本会議場は国の重要な意思決定が行われる場所であり、その様子は国会中継を通じて広く国民にも公開されている。
本人同士には何でもない仕草だったとしても、映像を見た第三者が「職場で同じことをしていいのだろうか」と疑問を持つ可能性はある。
特に、腰や臀部といった場所への接触は、肩を軽くたたくことなどとは受け取られ方が違いやすい。
だから、「悪気があったかどうか」とは別に、「公の場所でどう見えるか」という視点は必要になる。一方で、SNSで数秒の映像だけが切り取られ、当事者の関係性や前後の状況が分からないまま、人物そのものへの激しい非難に発展することにも注意したい。
今回の映像から考えるべきなのは、中条氏を一方的に悪者にしたり、松野氏を一方的に「被害者」と位置付けたりすることではないだろう。
時代とともに、人と人との適切な距離感は変わっている。
かつてなら「親しみを込めた冗談」で済んだ振る舞いでも、今は「相手はどう感じるだろう」「周囲からどう見えるだろう」と一度考える。
政治家に限らず、会社でも学校でも、誰もが知っておきたい現代のマナーだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部













