日本はすでに自国を守るだけの軍事力を備えている

被爆国としての日本の経験もまた、より公正な世界のために活かすことができると思います。日本国憲法における規定はユニークです。

憲法の規定により、日本はいかなる紛争においても、他国に対して侵略戦争に訴えることはありません。これは非常に優れた憲法規定であり、世界中のすべての国の憲法に盛り込まれるべきだと思います。

そうすれば、世界中のすべての国が、国家間の問題を解決するために戦争を視野に入れたり、戦争に訴えたりすることがなくなり、平和的な解決手段を採るようになるはずです。

もちろん防衛は認められていますが、もし国が防衛の準備をする必要があるとしても、それは防衛のためだけであり、侵略戦争のためではありません。つまり、すべての国が日本と同様に侵略戦争を拒否する条項を持っていれば、侵略は起こらないということです。

日本は防衛的な軍事力を持つことはできますが、攻撃的なものであってはなりません。ですから、たとえ中国が優れた兵器を開発したとしても、日本は中国を攻撃するために軍事力を増強すべきではありません。

日本を守るためだけに軍事力を持つべきなのですが、私は日本はすでにどの国から攻撃されても自国を守るだけの軍事力を備えていると思います。

自衛隊 写真/Shutterstock
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ムスリムと非ムスリムの双方が、より良く公正な世界を築くためには、共存を可能にするイスラームの知恵が活用できるでしょう。イスラームでは、挨拶をするとき、相手の平和を祈る言葉をかけて互いに挨拶を交わします。

イスラームとは平和を促進する教えなのです。もちろん、ムスリムの中にはイスラームの教えを誤って解釈し、紛争を解決するために暴力や戦争に訴える人々もいます。

けれども、それはイスラームの教えるものではありません。もし私たちがイスラームの教えに従うならば、紛争や問題の解決にあたっては平和的な手段を貫くことになるでしょう。イスラームとは平和を意味するものであり、暴力を伴わない解決策こそがイスラームの道なのです。

著者/マハティール・モハマド 編・訳/久志本 裕子

マハティール 百年の思想 イスラーム、日本、脱植民地主義への道
マハティール・モハマド (著), 久志本 裕子(編・訳)
マハティール 百年の思想 イスラーム、日本、脱植民地主義への道
2026/9/17
1,144円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4087214291
なぜマレーシア元首相マハティールは、日本に希望を見たのか。
1世紀を生き、植民地支配、日本占領、独立、国家建設と発展をその目で見つめてきた彼の思想の核心は、単なる反欧米でも経済成長至上主義でもなく、イスラームの倫理を基盤とした公正な社会と世界平和への希求にあった。
本書は、彼の日本への高い評価とルックイースト政策の真意、植民地主義を超える視座、宗教間共生への提言を立体的に描く。混迷する国際社会のなかで、日本とアジアが果たすべき役割を問い直す、百年の知恵が凝縮された1冊。

◆「はじめに」より◆
今日の日本は、地域の大国間で高まりつつある緊張を背景に、自国の役割を模索して、内なる葛藤に直面しているように見えます。
日本は、明確な立場を打ち出し、いかなる影響にも左右されないだけの勇気を持たなければなりません。
日本には独自の強みがあり、地域の緊張や紛争、さらには戦争の可能性を高めるような特定の陣営に与するべきではありません。
ーーマハティール・モハマド

◆目次◆
第1章 イギリス植民地統治下の少年時代
第2章 日本との出会い
第3章 思想の原点
第4章 イスラームはなぜ誤解されるのか
第5章 宗教の共生は可能か
第6章 モデルとしての日本
第7章 公正な世界に向けた日本とマレーシアの役割
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