名目リターンで考える目標額
【ケース2】
会社員Dさん夫婦(30歳)が配当金で老後資産を用意する場合のシミュレーション(名目リターンの考え方)
同じ境遇のDさんが、配当金で老後の生活をイメージしようとした場合。名目リターンで考えることになるので目標額が変わる。前提はCさんと同じ。現在想像できる老後の暮らしに必要なお金は今の物価で35万円。夫婦で年金は20万円を見込んでいて、将来は現在価値で毎月15万円の差額を埋める必要がある。
仮に年2%のインフレが続けば、今の35万円の暮らしをするには30年後には月63万円必要。年金は実質価値で目減りすると考えて、月27万円程度に設定しておく。穴埋めすべき金額を将来の物価で36万円に設定。ここでは増配系の銘柄を使ってシミュレーションする。
増配というのは配当が増えること。増配率というのは前年に比べて1年間で配当金がどれだけ増えたかを示す値だ。同じ資産から得られる配当金が年10万円だったとして、増配率10%というのは次の年は、年11万円、その次の年は12.1万円と配当自体が増えていくことを表す。
例えばSCHDという増配銘柄の執筆時点の設定来平均パフォーマンス(増配率11.1%、株価成長率8.7%、配当利回り3.4%)を基に計算をしてみた場合。
月2万円の積立を30年続け、配当も再投資すれば30年後の配当金は月36万円と試算される。控えめに平均増配率8%、株価成長率7%前後で考えた場合は月4.5万円の積立&配当再投資で月35万円前後のシミュレーション結果になる。
長期でこれくらいを積立しておけば退職金がなくてもかなり家計を助けてくれる。年2%のインフレが現実に起きなければ、余裕を持って暮らせるので、一定のラインに到達してからは配当金を再投資せずに使うフェーズに入ってもよいのではないかと思う。
ただし注意したいのは、このパフォーマンスはSCHDが設定された2011年以降の米国株強気相場での実績であり、直近3年の平均増配率は約7%(過去10年平均の11%前後から低下)となっている。将来同じパフォーマンスが続く保証はないため、保守的に見積もりたい人は自身の想定で控えめにシミュレーションをするとよい。
上記2つのケースではインデックスの取り崩し、配当金での生活どちらでも、月3〜5万円程度の積立が老後に向けての適切なペースとなった。つまり30年の長期でシミュレーションをしても、インデックスの取り崩しと配当金戦略で、明らかにどっちのほうが楽ということはないので、自分の考え方に合った方法で資産形成の山を登るといい。
文/IK 写真/shutterstock











