生きている人と故人での“名誉棄損”の扱い
しかし、現在SNSに書き込まれているのは、過去に報道された内容だけではない。投稿者と森本さんとの接点を第三者が確認できない個人的な体験談や、「知人から聞いた」とする伝聞まで広がっている。
その真偽を確かめることは難しく、本人はすでに亡くなっているため、反論したり事情を説明したりすることもできない。
「亡くなった途端に、何を言ってもいいのか」と疑問視する声がある一方、「亡くなったからといって、生前の問題を語ってはいけないのか」という意見もある。
では、法律上、故人の名誉はどのように扱われるのだろうか。弁護士の阿部由羅氏に聞いた。
阿部氏によると、故人の社会的評価を低下させる内容をSNSに投稿した場合、「投稿によって摘示した事実が虚偽である場合に限り、投稿者は『名誉毀損罪』によって処罰される可能性があります(刑法230条2項)」という。
生存している人に対する名誉毀損罪は、投稿内容が真実でも成立する場合がある。ただし、公共の利害に関する事実について、公益を図る目的があり、真実性が証明された場合などは、刑法230条の2により処罰されない。一方、故人の場合は、虚偽の事実を示した場合でなければ処罰されない。故人と生存者とでは、投稿内容の真偽の扱いが異なるのだ。
ただし、死者についてなら誰も責任を追及できないわけではない。
名誉毀損罪は、被害者側の告訴がなければ起訴できない「親告罪」だが、本人が亡くなっている場合、その親族または子孫による告訴が認められている。
また民事上も、投稿者が遺族に対して慰謝料の支払義務を負う可能性があるという。
「遺族が個人に対して有する敬愛追慕の情は、人格的利益として保護に値すると解されているためです」
問題のある内容を自ら書き込まなくても、それをリポストして拡散した場合はどうか。
阿部氏は「名誉毀損に当たる他人の投稿を再投稿しただけでも、再投稿をした者に対して不法行為に基づく損害賠償を命じた裁判例があります」と説明する(大阪地裁令和元年9月12日判決など)。












