転売の現実と「賃貸付け苦戦」

晴海フラッグをめぐっては、転売益を狙った購入が多数あったことも見逃せない。NHKの調査では、相当数の部屋が法人による投資目的での購入だったことが明らかになっている。当初の売り出し価格は坪350万円前後。その後の市場では坪700万円台の売り出し事例も現れ、差額だけ見れば大きな利益に見える。

ただし、数字を精緻に追うと話は違ってくる。短期間での転売には短期譲渡所得として約40%の税金がかかる。仲介手数料や不動産取得税なども加算すると、坪700万円で売れたとしても手残りは1000万円前後になる計算だ。坪500万円程度にしか売れなければ、リスクと手間に対して「ちょっとしんどい」という水準にとどまる。高値で抽選をくぐり抜けた達成感と、実際の収益の間には大きなギャップがある。

さらに深刻なのは賃貸市場だ。私が現地で物件を確認したとき、礼金なしの物件が並ぶ中に「AD100」の表示があった。ADとは仲介業者への広告料のことで、AD100はつまり、家賃1カ月分を業者への謝礼として払っても入居者が決まらない状況を意味する。晴海フラッグの賃貸付けが、相当程度に苦戦していることを示している。

価格帯は広く、同じ晴海フラッグでも棟や向き・階数によって坪300万円から800万円超まで開きがある。投資目的で購入した人の中には、賃貸収入も得られず、ローン返済だけが続いている人もいるはずだ。そうして「いつか売れる」という期待で保有を続けるうちに、資力を削られていく。