晴海フラッグの今
タワーマンションを語るとき、やはり晴海フラッグを避けて通ることはできない。
東京都が開発した晴海フラッグは、2021年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に建設された大規模住宅群だ。総戸数は5600戸超。整然としたマスタープランのもと、更地から設計された街としては東京近郊でもかなり珍しい規模の開発だ。
販売当初から注目を集め、抽選に多数の申し込みが殺到した。部屋の価格は方位・面積・階数によって大きく異なり、高層階で海側に向いた部屋ほど高い傾向がある。
では、実態はどうか。
まず、中国人をはじめとした外国人オーナーの比率が非常に高いとされる。購入者全体での比率は公表されていないが、現地を訪れた人々からは「明らかに日本人以外のオーナーが多い」という声が聞こえてくる。そのため、多くの部屋は空室のまま保有されており、投機目的の購入が相当数を占めていると見られる。
次に、ヤミ民泊の問題がある。晴海フラッグで民泊を営むことは管理規約で禁じられているが、それを無視して、外国人旅行者向けの民泊が横行しているという報告がある。正規の住民からすれば、管理が行き届かない状態で見知らぬ人間が出入りすることは、防犯上の不安もある。部屋が性的サービスの待機場所として使われているという噂もある。居住環境として看過できない問題だ。
また、あまり話題にのぼらないことだが、晴海フラッグの敷地内にはゴミ焼却施設がある。最新の設備で、高温処理とフィルタリングにより大気への影響は最小化されているとの説明はある。晴海のタワマン43階にあるパーティー会場から晴海フラッグを見下ろしたとき、街のど真ん中にそびえる焼却施設の煙突が目に入った。湾岸の夜景の中に、それは静かにそこにあった。自分の住む街の中にゴミ焼却施設があるという事実を気にする人もいるだろう。
交通アクセスの問題も残る。立地は都心に近い晴海埠頭だが、最寄りの都営大江戸線・勝どき駅まで徒歩18~20分以上かかる。BRT(東京の臨海エリアと都心を結ぶバス高速輸送システム)も運行されているが、地下鉄ほどの利便性はない。地図上の距離感と、実際の生活における移動の困難さには大きなギャップがある。
誤解のないように言えば、私は晴海フラッグを全否定しているわけではない。マスタープランに沿って整備された街の住環境は、他のエリアにはないものがある。問題は、この物件が「投資物件」のイメージで語られすぎていることだ。そこに投機目的の外国人資本が流入し、ヤミ民泊が広がり、住民の生活環境が脅かされている。
「モデルケースを目指した街」が、日本の住宅市場が抱える矛盾を凝縮したような場所になってしまっている。それが私の見た晴海フラッグの姿だ。












