繊細さを感じた楊令と犬の姿
──話は変わりますが、先ほど、ドラマの打ち上げの席での北方先生とのやりとりについてのお話が出ました。北方先生は二話での史進の暴れっぷりをとても気に入っていたそうですね。
それは本当に嬉しかったですね。そういえば、北方先生に「史進なのに案外丁寧なんだな」って言われたんですよ(笑)。失礼があってはいけないと思って丁寧な言葉遣いを心がけていたんですけど、どんなふうに見えていたのかなって。あとで周囲の人に聞いたら、先生の脳裏には、もっと尖っている若手俳優がイメージされていたんじゃないかと言われました。僕は史進とは全然違います(笑)。でも、北方先生が僕の史進のようなエネルギーに共感してくれたのは嬉しかったですね。
──五巻で印象的だった北方先生の文章はどんなところでした?
楊令と犬の白嵐が遊んでいるところですね。北方先生はこう書いています。
二人が、また絡み合う。ひとりと一匹というより、二人というのがぴったりだ、と済仁美は笑いながら思った。
(北方謙三『水滸伝』第五巻「玄武の章」集英社文庫 p138)
北方先生の文章表現って本当に繊細だなと思いました。きゅんとするんですよ。“漢”たちの生きざまをこんなに豪快に書く人が、犬と人間の交流をこれだけ優しく温かく書く。そのギャップがいいんです。
実際にお会いしてみると、男女の交流とか、情熱的な部分に対してすごくストレートな思いを持っている方だと感じました。スペインがお好きだとも聞いて、あー、なるほどと思ったんですが、ちょっとラテンな感じがあるんですよね、たしかに。李富と馬桂のラブシーンの生々しさも、そういうところから来てるのかなと。
──馬桂については五巻で楊志暗殺に深く関わりますね。
僕はどこかで李富を裏切ってくれるんじゃないかと期待していたんですけどね。楊令と白嵐が仲睦まじく一緒に育っていく姿を見て、馬桂の考えが変わるような展開になったらいいなと。
でもそんなに甘くはなかったですね。北方先生は真っすぐに馬桂を楊志暗殺に協力するように進ませました。個人的には残念でしたけど、それが北方先生の世界なんだと納得しました。
聞き手・構成/タカザワケンジ
写真/矢吹健巳〈W〉 スタイリング/部坂尚吾(江東衣裳)
ヘアメイク/齊藤沙織 聞き手・構成/タカザワケンジ
北方謙三「大水滸伝」シリーズ公式サイト
https://lp.shueisha.co.jp/dai-suiko/














