上野の“パンダ黄金期”の終わり
こうして2011年3月20日に2頭のパンダが来日することがいったん決まった。だが花見時期の混雑などを勘案し、来日は2月21日に前倒しされる。これが2頭の運命を変えたという。
「到着して公開までに慣らしたりする時期が置かれたのですが、その期間に3.11の東日本大震災が起きたんです。来日が前倒しされていなければ、福島第一原発事故にナーバスになっていた中国は国の宝のようなパンダを日本に送らなかったでしょう。
上野の運っていうか、皆さんのおかげでこの奇跡を呼んだんだと思いました」
リーリー(オス)、シンシン(メス)と名付けられたカップルからは翌2012年7月に第1子が生まれたが、6日後に死亡した。
その後、シンシンには実際には妊娠していないにもかかわらずその兆候が表れる「偽妊娠」とみられる状態が何度かあった末、2017年6月にメスのシャンシャンを出産。さらに2021年6月にはシャオシャオ(オス)とレイレイ(メス)の双子が生まれる。
それからシャンシャンが2023年2月に中国に送られるまで、この家族5頭が園内で暮らすという、上野動物園にとっての“パンダの黄金期”を迎えた。
シャンシャンは動物園の東園で1988年から使われてきたパンダ舎で暮らし、両親と双子は西園の約6800平方メートルの敷地に約22億円を投じて整備され、2020年に公開された「パンダのもり」で生活した。だがその時間は長く続かなかった。
「シャンシャンも両親も中国へ帰り、双子だけになっていた昨年4月、訪中した日本の議員がパンダの新規貸与を求めたことに中国外交部は『歓迎する』と受け入れる姿勢を示していました。しかし11月に高市早苗首相の台湾有事発言が出ると中国は関係悪化を理由に貸与しない姿勢を鮮明にしました」(全国紙元北京特派員)
そして今年1月27日、シャオシャオとレイレイも貸与期限を前に中国へ渡り、一家はみないなくなってしまった。













