なぜ日本は自殺大国になったのか?

近年、日本では自殺者が年間2万人を超えている。

表35のように世界的に見ても、日本の自殺率はワースト6位である。世界で6番目に自殺率が高いということは、世界で6番目に生きる希望がない国と言ってさしつかえないだろう。

低所得者に厳しい「鬼の自民党政権」…日本のお粗末すぎる生活保護、機能しない雇用保険、そして人生に絶望する人々が増えた_3
表35 自殺死亡率(人口10万人あたり)。『世界で第何位?-日本の絶望ランキング集』より

しかもこの自殺率の上位国は、時代によって入れ替わりがあるが、日本はここ10年来、ワースト10にランクインしている。

日本は長期間にわたって、自殺が多い国と言える。

しかし日本は昔から自殺率が高かったわけではない。1995年の時点では先進国の中では普通の水準だった。フランスなどは、日本よりも高かったのだ。

90年代後半から日本の自殺率は急上昇し、他の先進国を大きく引き離すことになった(表36)。一時的には年間3万人を超えることもあった。この当時の日本の自殺率を押し上げたのは、中高年男性の自殺の急増である。90年代後半からリストラが激しくなり、中高年男性の失業が急激に増えたことが背景にある。

低所得者に厳しい「鬼の自民党政権」…日本のお粗末すぎる生活保護、機能しない雇用保険、そして人生に絶望する人々が増えた_4
表36 主要先進国の自殺死亡率(人口10万人あたり)。『世界で第何位?-日本の絶望ランキング集』より
すべての画像を見る

その後、中高年の自殺が落ち着くと、今度は若者の自殺が多くなった。

中高年のうち、経済的弱者などが自殺していなくなり、残された若者世代の自殺が多くなったというわけである。

これを見たとき、われわれはこれまで一体何をしてきたのか、疑問を持たざるをえない。こんな社会をつくるために、一所懸命頑張ってきたのだろうか?

文/大村大次郎

#1『衝撃! 四国のある県の下水道普及率は18.7%…全国的にも「水洗トイレがない家が多い」ランキングOECD6位という日本の下水事情』はこちらから

#2『日本の寝たきり老人数、推定300万人以上は世界断トツ1位! 精神科ベッド数も全病床の21%で世界一…日本医療制度の欠陥と利権のせめぎ合い』はこちらから

『世界で第何位?-日本の絶望 ランキング集』 (中公新書ラクレ)
大村 大次郎 
低所得者に厳しい「鬼の自民党政権」…日本のお粗末すぎる生活保護、機能しない雇用保険、そして人生に絶望する人々が増えた_5
2023/8/9
¥946
224ページ
ISBN:978-4121508003
情報調査のプロ・元国税調査官が分析! 日本のヤバイ真実

実は途上国並みの水洗トイレ、電柱事情。
医師の人数や集中治療室は少ないのに、精神科ベッド数は断トツ世界一。
韓国よりも安い賃金、低い製造業の労働生産性、低い大学進学率。
子供、若者の自殺大国。外国旅行は「高い買い物」になった日本人……


等々、50を超える国際データを比較検証。少子高齢化が進み、格差が広がる日本の衰退は防げないのか? 実質的に世界一の資産大国・債権国でもあることなど、希望の芽をどのように花開かせればいいのか? データ分析のプロ・元国税調査官が読み解く。

■本書の目次(一部抜粋)■

1章 社会インフラは途上国並み
2章 病院は多すぎ医者は少なすぎ…いびつな医療界
3章 なぜ日本経済は中国に喰われたのか?
4章 先進国で最悪の貧富の格差
5章 世界最大の債権国
6章 少子化問題は起こるべくして起こった 
amazon