アート業界がざわつく。個性派アーティストが見せる待望の最新個展
飛行機雲で広島市上空に「ピカッ」という文字を描いたり、渋谷駅にある岡本太郎作《明日の神話》の余白部分に福島第一原発が想起される絵をゲリラ的に取りつけたり。これまでに何度も世間を騒がせてきた6人組アーティスト集団Chim↑Pom(チンポム)。森美術館で開催中の彼らの本格的回顧展が今アート関係者の間では大きな話題に。「Chim↑Pom展観た?」があいさつ代わりとなっているほどです。まさか美術館内にアレを作ってしまうだなんて! その驚きの光景はぜひ皆さま自身に観ていただきたいのでここではネタバレを控えます(展覧会が終わったらアレをどうやって処分するんだろう?)。
とかく炎上したことばかりに目を向けられがちなChim↑Pomですが、広島での冒頭の一件の後は市の人々と何度も対話を重ね、数年後には広島での個展を実現させています。3.11が起きた際にはすぐに現地に赴き作品を制作。さらに震災を風化させぬべく今なおプロジェクトを継続しています。その行動力はアート界随一。会場では初期作から最新作まで約150点、結成17年に及ぶ彼らの軌跡を辿ることができます。作品によっては好き嫌いがあるでしょうが、Chim↑Pomのことは嫌いにならないであげてください。
さて、今アート関係者の間で話題といえば、森美術館から歩いて数分の新美で開催中の展覧会も。縦真っ二つに切断された牛と子牛をホルマリン漬けにした作品や、覚醒剤の錠剤をイメージしたドットを白いキャンバスに等間隔に配した作品など、発表する作品が常に賛否両論を巻き起こすイギリスの現代アートの巨匠ダミアン・ハースト。その待望の日本での初個展です。桜をモチーフに描いたハーストの最新シリーズの中から、彼自身が選んだ24点が初来日。白い展示会場に、色とりどりの桜の絵画が咲き誇っています。具象画のようでもあり、抽象画のようでもあるハーストの桜。シンプルな作風ながら、ゴッホやスーラ、ポロックらの影響を大いに受けているのだそう。これまでのハーストの作風とはガラッと違うだけに、「素晴らしい没入感」「こんな絵なら俺でも描ける」「ハーストが辿り着いた新境地」とSNS上の反応はさまざま。その中にサクラも混じっているかも?
『Chim↑Pom展:ハッピースプリング』
【森美術館ほか】
東京都港区六本木6の10の1 六本木ヒルズ 森タワー53階
開催中~5月29日
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mori.art.museum
『ダミアン・ハースト 桜』
【国立新美術館】
東京都港区六本木7の22の2
開催中~5月23日
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.nact.jp
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