バックバンドの粋な計らいも生バンドならでは
「NHKのど自慢」はご存じ生放送だ。秋山さんは21年間番組を出演するなかで起こった“生ならではのハプニング”を笑顔を浮かべて述懐する。
「昔は合格した人に名前と住所を聞く決まりになっていて、ある放送で若い女性が合格したので司会のアナウンサーが『おところとお名前は?』と聞いたんです。そうすると女性は『え、男の名前を言うんですか……?』と聞き間違えて困惑しているんです。
どうやら『のど自慢』に出演した前日に彼氏にフラれちゃったそうで、よほど思い詰めてたからそう聞こえてしまったんでしょう。アナウンサーがアドリブで上手くこなしていましたけどね」
そんなアドリブ力が求められる「NHKのど自慢」の司会が特に気をつかっていたのが時間配分だったそうだ。しかし、中にはこんな強者も。
「段取り通りに終わらせようとすると、持ち時間は1人1分程度。だからサビ前で鐘を叩くことも多いんですが、あるおばあちゃんは鐘を鳴らして音楽が止まっても夢中になっていて気づかなかったのか、一向に歌をやめない。あまりに一生懸命だからバンドも演奏を再度スタート。当時の司会の小田切(千)アナも『歌い切りましたね』と労っていましたよ。こういうのは生ならではで、面白かったですね」
番組は4月2日からリニューアル。伴奏は生バンドの演奏からカラオケ音源へと変更されるので、こうしたバックバンドの粋な計らいも今後は見られなくなってしまった。
また、司会のアナウンサーも10年間務めた小田切千アナから廣瀬智美アナと二宮直輝アナが交代で担当する体制となった。さらに、テーマソングも葉加瀬太郎氏がアレンジした新バージョンに刷新。このような“新生”「NHKのど自慢」について、秋山さんはどのように思っているのか。