“田澤の走りはこんなもんじゃない”

10月10日に開催された出雲駅伝は、大混戦の予想を覆し、駒澤大が2区から独走で優勝を飾った。6区間中3区間で区間賞、残りの3区間も区間2位という完勝だった。

その駒大には、学生の枠を超えて活躍を見せる大エースがいる。

4年生の田澤廉。

昨年度は3年生にしてチームの主将を務め(今年度は同級生の山野力に引き継いだ)、今夏はオレゴン世界選手権で日の丸を付けた。

今回の出雲駅伝では各校のエースが集う3区に登場。区間賞こそ創価大の留学生、フィリップ・ムルワ(4年)に譲ったものの、2位との差を20秒に広げ、チームの勢いをさらに加速させた。チームのエースとしての役割を果たしたといえるだろう。

駒大エース・田澤廉がラストイヤーに直面する逆境。駅伝三冠に求められる完全復活_1
出雲駅伝で9年ぶり4度目の優勝を果たした田澤廉(右から3番目)ら駒大選手ら 写真/共同通信
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しかしながら、“田澤の走りはこんなもんじゃない”と思った駅伝ファンも多かったのではないだろうか。トラックの10000mの自己記録は田澤のほうがムルワよりも10秒以上速い。

今年1月の箱根駅伝2区でも田澤が区間賞で、ムルワが区間2位だった。だが今回の出雲では8.5kmの距離でムルワのほうが14秒も速かったのだ。日本人トップの区間2位という成績は、田澤にとって最低限の走りにすぎず、本領を発揮したとはいいがたかった。