電動アシスト自転車は、ペダルを踏んだ力を解析し、前に進むのに必要な力の半分を瞬時にモーターが補助してくれる。e-bike(イーバイク)とも呼ばれ、ペダルを漕がなければアシスト力は発生しないのが特徴だ。
運転免許がなくとも利用できる気軽さも手伝い、2020年度の販売台数は約110万台と、前年比15%以上の伸びを記録した。

電動アシスト自転車を買うなら「春需」が狙いどき! オススメ4車種を詳細解説
三密を避けた移動手段として注目される自転車。ガソリンの価格も上がり続ける今、とくに存在感を増しているのが、モーターを内蔵した電動アシスト自転車だ。新たな生活が始まる春に手に入れたい電動アシスト自転車の魅力を体験してみた。
初心者からのアウトドアVol2
そもそも電動アシスト自転車って何?

ヨドバシカメラ新宿西口本店・携帯スマートフォン館の地下2階にある自転車売場
街乗り用からスポーツ、子ども乗せなど車種も様々
「通勤・通学や、買い物、子ども乗せ機能を搭載したもの、スポーツに向いたモデルなど、電動アシスト自転車にもさまざまな種類があります」と話すのは、ヨドバシカメラ新宿西口本店で自転車売場を担当する小崎諭(こざき・さとし)さん。
売り場に並ぶのはほぼ電動アシスト自転車で、通常の自転車は数えるほどしか見当たらない。売れ筋は電動アシストサイクルの三大メーカーと呼ばれる「ブリヂストンサイクル」「パナソニック」「ヤマハ」で、オススメは実売価格13万円前後のモデルだという。

7階にある試乗コースでは、常時約25台の試乗車が用意されている
「価格は8万円台後半から用意はしています。ただ電動アシスト自転車の価格のうち、約3割をバッテリーが占めるため、廉価モデルに搭載されるバッテリーは容量が少なめです。そのぶん航続距離が短くなるため、充電が頻繁に必要になり手間がかかります」(小崎さん)
13万円前後の車種なら、航続距離は一回の充電で最大80km程度、中には約200kmも走ることができるモデルもあり、実用性も至便性も十分だ。
また、電動アシスト自転車は本体の造りが丈夫なため、消耗品を替えながら大切に使えば、10年間は乗ることもできるのだとか。そのため多少値が張っても、多くのユーザーは上位機種を選ぶ傾向があるという。

7階には、無料で試乗体験できるコースを設置。直線中心の約60mのコースのほか、スロープを設置した全長約75mのコースも用意している
「入学や就職など、新生活が始まる3月から4月には “春需(はるじゅ)”と言って、自転車の需要がいちばん高まる時期なんです。普段は各モデル1色程度の店頭在庫を、春需時には数色バリエーションを揃えるなど、新しい暮らしに即お役立ていただける体制を整えています」(小崎さん)
つまり春が自転車の買いどきというわけだ。同店でも電動アシスト自転車だけで、多い日は一日で30台以上も売れるという。その特徴や選び方を教えてもらった。
家族で使い回せる“シティサイクル”
最も汎用性が高いのが、シティサイクルと言われる、オーソドックスなタイプ。

「フロンティア デラックス」(税込み価格14万7000円・充電器込み、メーカー小売り希望価格=以下、価格はみな同じ)は、ブリヂストンサイクルの買い物向けモデル。女性でもまたぎやすく、年齢性別を問わず使いやすい

前輪の軸部分(ハブ)にモーターを内蔵。ハイブリッド自動車と同じように、下り坂などで充電する回生ブレーキ機能を持つので、より航続距離が延びる。後輪は通常の自転車と同じようにペダルで漕げるので走行感も安定している
通勤や通学などの用途や、年齢や性別などを問わず幅広く利用することができるので、家族で共用するというケースが多いのだという。「まずは一家に一台」というケースに最適なモデルだ。
コンパクトで軽々取り回せる“小径車(ミニベロ)”
車輪のサイズがコンパクトな小径車(ミニベロ)も人気が高い。
「駐輪するためのスペースが限られていたり、マンションなどエレベーターに乗せて自室に運んだりするのに便利なので、盗難対策を重視するユーザーに向いています」(小崎さん)

「PAS CITY-C」(13万2000円・充電器込み)は、世界で初めて電動アシスト自転車を開発したヤマハが手掛けるミニベロ型電動アシスト車。前カゴを後付けできるキャリアも標準装備しているので拡張性も高い
小径車は通常サイズのモデルに比べ、重心が低いので安定感があり、タイヤ幅が太めなので乗り心地も優しく仕上がっているモデルが多い。
もはや子育ての必需品“子乗せモデル”
保育園の送り迎えでは、子どもだけでなく、荷物もたくさん積む必要がある。
「帰宅時には食事の買い物をすることが多く、普通の自転車ではまっすぐ走ることも困難です。共働きで子育てをする方々にとって、子ども乗せ電動アシスト自転車は生活必需品になりつつあります」(小崎さん)

パナソニックの「ギュット・クルーム・DX」(17万2000円・充電器込み、写真の後部子供乗せは別売り)は、ベビーカーのトップブランド「Combi」とコラボレートしたモデル

チャイルドシートはベビーカーのノウハウを取り入れ、より快適で安全に進化している
最近では保育園や幼稚園の“入園準備アイテム”としても扱われるようになったそうで、祖父母がお祝いにプレゼントするというケースも多いのだという。
筆者も試乗したところ、踏み出した瞬間の力強さと、車体のしっかり感に驚かされた。これなら子ども二人を乗せて毎日往復する苦労がかなり軽減されそうだ。
通勤・通学はもちろんレジャーにも向く“スポーツタイプ”
「キャリアなど荷物を乗せる機能を削ぎ落とすことで、飛び抜けた軽快な乗り心地を持つのがスポーツタイプです。通勤・通学はもちろん、ツーリングなどにも使えるので人気があります」(小崎さん)

ブリヂストンサイクルの「TB1e(ティービーワン e)」(15万2000円・充電器込み)は、一回の充電で最大約200km走行可能なスポーツモデル
試乗コースでこのモデルを体験することに。一般的な電動アシスト自転車は後輪をモーターで駆動させるが、このモデルでは前輪にモーターを内蔵している。もちろん、後輪は通常の自転車と同じようにペダルで回すことができるので、両輪が駆動することでパワフルかつ安定感のある走りが楽しめる。
また、スタンドや泥よけが標準装備されているので、毎日の通勤でも快適に乗ることができそうだし、なにより走りが軽快なので気分転換のサイクリングにも最高だろう。
電動アシスト自転車生活の注意点
気軽に利用できる電動アシスト自転車だが、とくに注意すべきなのがバッテリーの盗難対策なのだという。
「先程ご説明したように、バッテリーは車体価格の1/3程度と高価。そのため、残念ながら車体そのものより、バッテリーだけが盗まれるケースが相次いでいます」(小崎さん)

ワイヤー錠はバッテリー盗難対策の必需品
ここ数年は、転売目的で自転車用バッテリーを専門に盗む窃盗団が摘発されたという事件も数多く起きているそうだ。
バッテリーは鍵を壊して盗むので、バッテリーだけでなく鍵の修理費まで掛かるとなると負担も少なくない。バッテリーを車体に固定する専用のワイヤー錠(店頭価格1630円)はいまや必須の装備なのだそう。
個人のこれからの移動手段の大本命か
今回紹介した電動アシスト自転車の全てを試乗させてもらった。そのパワフルで快適な乗り心地は想像をはるかに越えたもので、パーソナルモビリティとして大きな可能性を感じさせてくれた。
取材中に試乗に訪れた20代のカップルも、代わる代わるミニベロタイプでコースを走ると、納得した様子で購入を即決していたのが印象的だった。
買い物や通勤はもちろん、休日のサイクリングなどでより遠くへと行動範囲を広げてくれる電動アシスト自転車の魅力を、今年の“春需”で体験してはいかがだろうか。
(写真撮影/杉山元洋)
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