僕は数年前まで、なんとなくで買ったベッドとマットレスで朝起きて、100円 ショップで買ったマグカップで水を一杯飲んでと、ありあわせのモノで、メリハリのない生活をしていました。
その頃は仕事に行って、帰ったら寝るだけの生活。なんとなくで笑って、なんとなくで毎日をこなして、なんとなく生きていたのを覚えています。
もちろん普通に楽しい時間もありました。だけど、そこはかとなく感じていた「これじゃない」感。それが何なのか明確にわかっていたわけではないのですが、何か心にしこりがあるような、そんなものを感じていました。
昔は感じていたしこりも、この本を書いている今は一切感じていません。何が変わったか全て説明するのは難しいのですが、確実に変わったと言えるのが自分の周りのモノたちです。
今この本を書いている時でさえ、周りを見渡すだけでたくさんのモノが目に入ります。キーボードを叩いているMacBookも、デスクの左端にある開けっぱなしのガジェットポーチも、コーヒーが半分くらい入っているArabia(アラビア)のマグカップも、僕の大好きなモノたちです。
人生において、すごく充実している瞬間、心が躍る瞬間とはどういう場面か、少し想像してみてください。
「お気に入りの服を着た時」
「美味しいコーヒーを 飲んだ時」
「とても良い香水を見つけた時」
いろいろあると思いますが、ほとんどの瞬間に“モノ”が関わっています。人生の中でこの回数が増えていけば、幸せを感じる瞬間が多くなっていきます。
僕は今、毎日好きなモノに囲まれています。朝起きたらちょこっとゲームをして、朝日を浴びながらバルミューダのコーヒーメーカーで美味しいコーヒーを淹れ、選び抜いたスペックのMacBookで音楽をかけ、こだわりの一枚板で作ったデスクでコーヒーをいただく。
これをするだけで、昨日どんなに嫌なことがあっても、気分はリセットされます。
実はみなさん、同じような経験があるのではないでしょうか。例えば新しい服を買った時。ちょっと奮発して良い服を買った次の日は、その服を着たくなるはず。
仕事に行くのが嫌な時も、悩み抜いて買ったスーツを着込むと気分が晴れるかもしれない。自分で選び抜いた腕時計1つで気分が前に進むかもしれない。
自分のこだわりが詰まったモノを身につけていると、普段より少しだけカッコいいような、ちょっぴり背筋を伸ばして歩きたくなるような、そんな気分になりませんか?
その感覚を、少し強くなった自分を、毎日少しでも感じられるように、僕は「好き」 で周りを固めています。
今一度、身の回りのモノを見返してみてください。どのくらい好きなモノがあるで しょうか。パッと目につくモノが全て好きであるならば、きっと幸せも倍増します。幸せな分、人は頑張れるはずです。

「買い迷い」は効率の敵。買うと決めたものはすぐ買った方が人生が好転する理由
リモートワークが一般化し、フリーランス人口も増える中、より良い在宅環境・仕事道具を整えるにはどういった視点が必要なのか。ガジェットYouTuberとして人気を集める高澤けーすけ氏のモノ選びの秘訣を、『デジタルライフ・モノワーカー モノ選びで劇的に豊かになる仕事術』(株式会社KADOKAWA)から一部抜粋・再構成してお届けする。
デジタルライフ・モノワーカー #1
「好き」はモチベーションの源泉

買い迷いは効率の敵
僕が絶対心に決めていることが1つあります。それは買うと心に決めたらすぐに買うこと。
もちろん金銭的な理由などで買えないこともあるかもしれません。けれども、絶対に買うと決めたモノは、多少無理してでも、できる限りすぐに買うようにしています。
例えば絶対に買うと心に決めたカメラがあったとしましょう。
もう少し自分に余裕が出てから買おうと、半年後にカメラを購入したとします。
確かにそこからでもめちゃくちゃ良い写真は撮れると思うし、その後に最高のカメラライフが待っているかもしれません
でも、買うまでの半年の思い出はそのカメラで一切残せません。その半年の間に恋人ができて、会社で昇進して、親友が田舎に移住して......なんて大切なイベントがあるかもしれない。もしカメラを買っていれば、大事なイベントを今以上に素敵な形で思い出に残せたはず。
仮に大きなイベントがなくても、僕らの1日は想像以上に大切なもの。過ぎてしまったら戻ってこない、かけがえのないものです。できる限り毎日の思い出は鮮明に残していきたいと僕は思っています。
買うと決めてから時間が経った分だけ、大きな差がついてしまいます。半年後、持っているモノ、残っているお金は同じなのに、カメラで残せるはずだった思い出だけはないのです。当然ながら、その半年で培えるはずだったスキルも得られません。
ほかにもPCはもちろん、デスクやチェア、動画編集ソフトやiPadなど、特に仕事に関わるモノは、良いモノを見つけたら迷わず買うべきです。
すぐに買えば効率化できる仕事も、迷っている期間の分、効率が悪いままです。生産性が低いということは、余計に時間がかかっているということ。つまり時間を失っていることになります。
一度失ったお金は取り戻せるかもしれませんが、一度失ってしまった時間は取り戻せません。
もちろん、どうしようもない状況はあると思います。無理をして自分の首を絞めるのは良くない。けれども、ただ臆病になって遅れてしまう買い物ほど損をすることはないと思っています。
臆病な買い遅れ=損
という認識があるので、買うと決めたモノは必ずすぐに買うようにしています。
僕らが過ごせる世界の中で、今が自分にとって最も若い状態なのですから。

ときめくモノで仕事の環境を整えよう
「昨日はどんな1日を過ごしましたか?」と聞くと「いや、特に何もなかったよ」と答える人がいます。それはすごくもったいないことだと思います。
人には必ず毎日何かしらの出来事があり、何かをそこから感じ取っています。
単に仕事をしている時でも一緒。今日は上司が機嫌良さそうだったなとか、座椅子の硬さがちょうどよかったなとか。そういうちょっとした出来事をときめきと捉え、「なんか良かったな」と膨らまして人に伝えられたらとても幸せだと僕は思います。
コロナ禍で、ここ数年は出歩く回数も減り、今言ったときめきを感じることは少なくなっているかもしれません。人と会うことがなくなり、何か新しい発見をする機会も少なくなっているでしょう。
そんな時こそ、僕は自分の身の回りのモノを見直します。仕事に関係するモノであればPCやデスク、そのほか休憩の時に飲むコーヒーや、ふと目をやった時に目につく植物まで。パッと周りを見渡すだけでも多くのモノが目に入ります。
そのモノ1つひとつで心が少し柔らかくなる。そんな素敵なモノに囲まれた毎日が過ごせたら、どんなに幸せでしょうか。
そのために僕は毎日のように身の回りのモノを見直しています。
特にこだわっているのが1日の作業時間の大半を占めるデスクワークのアイテム。 長い時間を共にするからこそ、より一層素敵なモノで組み立てたいと思っています。
PCのキーボードが打ちにくいと思ったらPCスタンドやキーボードカバーを見直したり、モニターが見づらいなと思ったら新しいモニターを探してみたり、腰が痛いなと思ったら新しいチェアを探してみたり。最近は、iPhone の充電がすぐにできないと不便なので、ワイヤレスの充電器をデスクの端に置くようにしました。もちろんケーブルはデスクの脚に沿わせて見た目も完璧です。
そうやって1つひとつこだわっていって、今は自信を持って「最強の環境で仕事ができている」と言えるようになりました。ついつい座りたくなるチェア&デスクに、ケーブル1本でPCを充電しつつ接続できるモニター。電源を入れれば最大効率で動画編集ができるマウス。デスクの端には気分転換のためのアロマディフューザー。
隅から隅まで考え抜いて選んだモノたちだからこそ、自分自身の最大のパフォーマンスを発揮できているのだと思います。
自分の納得できる、ときめきのあるモノで毎日を囲ってみると、自信を持って仕事に向かえます。その自信は確実に成果にも影響してくるでしょう。

文/高澤けーすけ
写真提供/株式会社KADOKAWA
『デジタルライフ・モノワーカー モノ選びで劇的に豊かになる仕事術』
高澤けーすけ
2022年9月2日
1,540円(税込)
四六判/232ページ
978-4-04-605639-9
さあ、人生が変わる最高の「仕事道具」を手に入れよう!
本書は、リモートワークが一般的に普及し、フリーランス人口も増加する中で、在宅環境、仕事道具を見直すことができる一冊です。
著者は、ベンチャー・IT大手・フリーランスを経験しているガジェットYouTuberの高澤けーすけ氏で、「仕事×モノ選び」のプロフェッショナルです。
本書では、「モノ選びで劇的に豊かになる仕事術」「こだわりの家具・家電によるワークスペースの構築方法」「最高の仕事道具(相棒)との出会い方」「ガジェットを活用した効率化ノウハウ」など、モノ選びでいかに仕事が豊かになるかを語り尽くしています。
さらに、著者が厳選したおすすめの仕事アイテムも写真付きで紹介しています。
自分のモチベを上げてくれる最高の相棒「Apple製品」
大容量データを即座に転送できる「SanDisk SSD」
毎日をリセットしてくれるコーヒーメーカー「Balmuda The Brew」
最強効率化を実現するマウス「MX Ergo」
iPhoneもMacも、充電器はこれ1つ「CIO Lilnob」
香りで集中のスイッチを入れる「Aesop Hwyl」
モノ選びで「仕事」と「人生」が劇的に変わる一冊です。